Hey guys.
しゅみすけです。
本職は英会話教室の社長をやってます。
今回はですね。この人の言語学習法を紹介します。その人の名はハインリッヒ・シュリーマン。歴史好きの人は名前を聞いたことがあるかもしれません。ギリシャ神話に登場する、トロイの木馬で有名なトロイ遺跡。これを発見した人です。
でもね。別に今日僕は彼の遺跡の話をしたくてこの記事を書いているわけではありません。何を話したいかっていうと、彼の語学勉強法です。なぜなら、シュリーマン。実は語学の達人として有名です。何ヶ国語話せたと思いますか?なんと、・・・18ヵ国語の使い手だったんです(テロップ:一説では22ヵ国語)。
皆さんに1つ考えてもらいたいことがあります。
英語を勉強するといったとき、実はほとんどの方がしないことがあります。何だと思いますか?ずばり、言語の学習法、つまり、学び方です。
YouTuberのなんとかさんが言ってたから。職場の同僚がやってるから。このやり方なら学生時代とあまり変わらないから。とりあえず、みんながやってるから。こんな理由で、深く考えずに単語学習、文法学習、そして、テスト勉強をする。こんな経験はないですか?
これではね。英語ができるようになるはずがありません。
実は、僕が実務レベルに耐えうる英会話力・リスニング力を半年で獲得し、その後、アメリカの大学院留学、外資系企業での勤務、そして、日々英語に携わる仕事をするようになったきっかけががあります。それが、今日紹介するシュリーマンでした。
中学では英語の点が悪すぎて退学。大学でも英語の単位を落とすくらいの英語嫌い。そんな僕が、一度立ち止まって、言語を使いこなすというのはどういうことなのか。何をするべきなのか。その秘密を教えてくれたのが今日紹介するシュリーマンの自伝です。
ぶっちゃけ言います。ほんと僕は運が良かったと思います。どういうことかというと、この本を手にとったキッカケは英語学習と関係ありませんでした。僕が歴史オタクだったことです。でも、この本は言語学習者にとって宝の山なんです。この本を通じて、シュリーマンの言語学習法を知ったこと。そして、僕なりに彼のやり方をアレンジして学習法をガラリと変えた結果は。はっきり言って今まで何やってたんだろう?俺?でした。
でもね。多くの人は、学習に時間はかけますがやり方そのものを振り返ったり、振り返ったとしても、思い切ってガラリと変えられる方はごく僅かです。だからこそ、僕はこう言いたい。一度、立ち止まって、学習の仕方を学べって。
ということで、今日の記事は英語伸び悩んでる方、必見です。これから、語学の天才シュリーマンの言語習得の方法を紹介します。ちなみに、シュリーマンが活躍した時代と、今の時代では、テクノロジーなども大きく進化し、変わったことが数多くあります。でも、語学スキルを獲得するという本質は何も変わってません。
また、脳科学、神経科学、第二言語習得論など言語と脳の関係もここ数十年でかなりわかってきました。昔からシュリーマンの学習法はいいって言われていたそうですが、アカデミックな世界でそれが実証されたのは最近のことなんです。
この記事では、18ヶ国語を話せた語学の天才「ハインリッヒ・シュリーマン」が実践していた、英語などの語学学習法を徹底解説しています。ハインリッヒ・シュリーマンの語学勉強法は、語学学習の本質に基づいており、第二言語習得論などの後世の研究からも正しかったことが証明されています。皆さんの言語学習にもきっと役立ちます。なるべく、今の時代にあわせた形で彼の学習法をアレンジし、皆さんが実践できるようにするための方法をお伝えします。僕が実際にやってきた方法でもあります。
今回の記事は、こちらの動画「【18カ国語の使い手】語学の天才シュリーマンの外国語勉強法【今すぐマネできる】」でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
ってことで、皆さん準備はできましたか?
それでは、
Let’s get into it!
目次
ハインリッヒ・シュリーマンはどんな人?
最初に、シュリーマンってどんな人?ってことから話します。シュリーマンは、19世紀のドイツを代表する考古学者です。Wikipediaでは、肩書は、考古学者、歴史家、そして、実業家と書かれています。
このシュリーマン。めちゃ苦労人です。彼は11歳まではエリートの道を目指します。そして、進学校にいきますが、ここで挫折して退学。なんか、僕と似てるなぁ。
その後、勤務時間が朝5時から夜11時という超ブラックな環境で丁稚奉公をします。その時、酔っ払たの粉屋のおじさんから、ギリシャ神話を教わります。これがシュリーマンの人生の転機です。この酔っ払いが朗読したギシャ神話がホメロスの『イーリアス』でした。そして、この神話の舞台となったトロイ戦争、「トロイの木馬」の存在を強く信じます。
もちろん、そんなシュリーマンのことを誰も信じてくれません。それもそのはずです。ホメロスの生きた時代は紀元前8世紀。今から2800年以上前の話です。そんな神話に登場する話が実在するなんて誰も信じるはずはありません。今風に言えば、ネッシーみたいなもんです。まぁネッシーいるかもしれませんけどね。他の人から見れば、かなりツンデレだったことでしょう。
ところが、シュリーマン少年はこういいます。
「いや、トロイは実在する!」
まぁ、言うのはただです。でも、学校もろくに卒業してない。政府にコネもない。誰も発掘のスポンサーにはなってくれるはずがありません。
ここで、彼は転職します。ベネズエラ行きの汽船の船員として働くことになりました。海外に行くこともあるし、外国語を学ぶきっかけになる。まぁ、そんな気持ちで転職しました。しかし、なんとその船が航海出たばかりのオランダ沖で難破します。ツンデレで誰も相手してくれない。お金もない。やっと見つけた仕事も船が難破してなくなる。
しかし、彼は諦めません。ここで、シュリーマンは大きな決断をします。なんと、母国、ドイツには帰国せず、オランダに残りそこで働くことにするのです。
で、オランダで丁稚奉公の仕事を見つけて、その間に、シュリーマンは1つ目の外国語、英語をマスターします。その間わずか6ヶ月。その後、アメリカ、ロシア、フランス、そして、ギリシャやトロイの遺跡があるとトルコなど様々な場所に拠点を移します。
英語以外に、フランス語も半年で。そして、この2つの言語をマスターした後は、オランダ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語などはなんと6週間でそれなりに使えるようになったそうです。こうしてシュリーマンは一説では22か国語。少なくとも18カ国語はかなり使いこなせるようになったと言われています。
なんかもう意味不明にすごくないですか?
でも、多言語を話せるようになったのも、すべては遺跡を発掘するため。事業家として大成功したのも、遺跡を発掘するため。もうすべてはトロイ発掘のためなんです。ここまで来ると執念ですよね。
ハインリッヒ・シュリーマンが実践した語学勉強法とは?
では、ここでシュリーマンのやった学習法でも特に皆さんにも効果がある学習法。これを紹介します。とはいっても、シュリーマンの生きた19世紀と今は環境が違います。はっきり言っときます。当たり前のことですが、シュリーマンの時代より僕らは数百倍、環境が恵まれてます。ということで、シュリーマンの学習法を第二言語習得論などの知見を入れて今なりに解釈しなおして、実際に、皆さんができるように落とし込んで解説します。
僕が英語学習法をガラリと変えたきっかけは、彼の代表的著書『古代への情熱』を読んだことです。この本の冒頭に、彼の言語学習の端緒となる、英語学習でやったことが書かれています。その一節をちょっと引用します。ここに、彼の言語学習のエッセンスが詰まっています。僕が当時自分が英語が話せない、聞けないのはこれかもしれない。そう思った箇所です。ちょっと読んでみます。
そんなわけで一生懸命、英語を学んだ。その際、困窮が発見を生んだと言ってもいいような外国語習得法に気がついた。ごく簡単な方法であって、大きな声を出して原文を読む。訳をしない。毎日1時間はあてる。そのことばで自分に関心のあることを書いてみて、先生に直してもらう。直してもらったのを暗唱する。つぎのときに前日直されたところを声に出していってみる。
H・シュリーマン『古代への情熱』より
以上です。今の一節が一番シュリーマンの言語学習のエッセンスを要約していますが、他にも注意深く彼の書籍を読んでいくと、様々な言語学習を紹介してます。全部紹介すると多くなるので、これらを要約した上で、今の時代に合わせた学習法として僕なりに5つのステップにわけてみました。
今日から使える!ハインリッヒ・シュリーマンの英語勉強法
で、シュリーマンの学習の5ステップということで紹介したいと思います。下記の5つです。
Step2:音読(オーバーラッピング)
Step3:独り言と添削
Step4:シャドーイング
Step5:短期集中
これを1つずつ解説します。
Step1:最低限の文法と英単語を学習する
まず、Step1。最低限の文法と単語です。
シュリーマンが学習で苦労したのは、やはり、母国語であるドイツ語と言語構造が異なる言葉です。例えば、トルコ語やアラビア語は完全に系統が違います。また、同じインドヨーロッパ語族でも、ロシア語、ギリシャ語も文字、単語、文法構造がかなり異なるので苦労した形跡が見受けられます。
一方、ドイツ語と親和性の高い言語。例えば、ドイツ語と似ているオランダ語や北欧の言語学習は実はシュリーマンはほぼ、Step2とStep3しかやってないです。それで十分話せるレベルになったということです。では、僕ら日本人にとって英語はどうかというと間違いなく、シュリーマンにとっても苦戦した言語学習でやったことが参考になります。
それが、このStep1の文法と単語です。あたりまえのことですが、単語は言語の最小構成単位です。単語がわからないとその言語の意味はわかりません。また、文法がわからないと文単位での意味がわかりません。どちらも超重要です。
ただし、ここが大事です。やりすぎも良くない。つまり、どのレベルまで単語と文法が必要か、という点においてシュリーマンはかなり本質的なことを言い残しています。そのことが日記に残っています。ちょっと引用します。
一瞬たりとも、文法規則の勉強で貴重な時間を無駄にはしなかった。
これね。実はスゴイ本質的な話なんです。彼は、周りのドイツ人のエリートたちがギリシャ語の文法や単語を何年と勉強しても、結局使いこなせない状況を観察してました。
ん?なんか僕らも耳痛いですね。そこで、文法・単語学習では、これだけ。と決めてたことだけ学んでいます。その一つが格変化、そして、単語学習では、不規則動詞。この2点です。
皆さん、英語ね、かなり勉強してます。知識もそれなりにあります。だから、先入観がありますが、たとえば、今からスワヒリ語やインドネシア語を勉強するとしたらどうでしょう?
まず、絶対に日々の会話で使う単語をおぼえますよね。中でも、圧倒的に大事なのは動詞です。なぜなら、文章というのは主語と述語から構成されます。そして、述語となるものといえば、主に動詞です。そして、動詞の中でも大事なのは基本動詞だ、と明確にシュリーマンは本の中で書いてます。僕も全く同じ意見です。
次に文法です。文法っていうと難しく感じます。でも、文法の本質は2つしかありません。1つは、1つは単語が意味を持つ並べ方のルール、つまり、語順です。
もう1つは、どの単語が主語なのか、目的語なのか、といったことをわかるようにするための語尾変化です。これが、シュリーマンの言ってる各変化です。日本語だと、格助詞です。ちなみに、英語は各変化はほとんどなく、単語の並べる順番で、何が主語で何が述語かを決めてます。
ですので、文法と言っても英語学習では、語順に慣れることが一番大事だと言えます。
皆さん、文法と言うと、もう、いきなり、仮定法だったり分詞構文だったり、もう名前聞くだけでイヤになりますよね。シュリーマンは読み書きに必要となる最低限の文法を学んで、あとは、Step2以降の学習を通じて慣れろ、と言ってるわけです。これも、第二言語習得論では予測文法と言ったりしますが、正しい考え方です。
最後に、シュリーマンの言うところの単語・文法学習。これを今風にして英語学習に当てはめると何をするか。これを説明します。
まず、単語。これは、基本動詞です。シュリーマンは不規則動詞って言ってます。シュリーマンの言う通りで、どの言語でも日々使う基本動詞の多くは不規則動詞です。日本語でも、基本動詞の活用は不規則です。
例えば、走る→走った、歩く→歩いた、起きる→起きた、全部違いますよね。一方、基本動詞じゃない動詞はいかがでしょう?ほとんどが規則動詞です。
走行する→走行した、歩行する→歩行した、起床する→起床した、ゲットする→ゲットした。いかがですか?英語も日本語も、実は、基本、口語で圧倒的に使うのは基本動詞=イコール、ほぼ、不規則動詞なんです。ただし、文語になると規則動詞も増えてきます。
単語ってのは無限に数がありますが、日々の会話で使われる単語は限られています。その中でも、名詞を除くと、圧倒的に重要度が高いのが動詞、中でも、基本動詞になります。
私達日本人はこの基本動詞を学校で一応学んではいますが、学び方が間違ってます。だから、使い方をわかってません。だから聞こえない、話せない。ということで、ここで、基本動詞を学び直す。できれば、コアイメージを使って学び直す。そして、英語に関しては、基本動詞とセットになりやすい前置詞もできれば一緒に学ぶ。以上です。数にすれば、動詞と前置詞足してまずは100個ちょい。ここからです。
次に文法。これは、もう一旦、高校文法は置いておいて単語の並べ方、つまり語順をしっかりと理解し、文法項目は中学文法で十分です。これ以上は一旦、手を付けず、次に紹介する、音読、独り言、シャドーイングなどに軸足を移して、その過程で、高校レベルの文法がでてきたら学び直す。以上です。
ちなみに、基本動詞については「【イラスト付き/教材級】英会話の9割がわかるようになる基本動詞Top55【総集編】」の動画で上位55位までをこれでもか、というくらい分かりやすく解説しています。
Step2:音読(オーバーラッピング)
Step2は音読です。実は、シュリーマンがどの言語を学ぶときも必ずやっていたのがこの音読です。
シュリーマンはこう言ってます。
音読がなぜ良いのか。なぜでしょう?
実は、音読には本当に色々と効果があります。まず、最大の効果。それは、言語の語順に慣れることです。
外国語学習で難しいのは、言葉を並べる順番。つまり語順です。この語順に慣れるのにもっとも効果的なのは、多読、多聴です。つまり、リーディング、リスニングです。音読は、多読+声に出す学習です。つまり、語順に慣れるだけではありません。声を出すので、発音も良くなる、リスニングも改善する、語彙力が増える、そしてStep1で知識として知っていた文法が体で使える文法、つまり、予測文法に変わります。
ただし、音読には課題があります。なぜなら、音読はお手本がありません。結果として、発音・リスニングにはそこまで効果がないことです。これは、シュリーマンの時代は、YouTubeやスマホもありませんでした。もし、ネイティブのお手本の声を手に入れるとしたら、ネイティブの先生を雇ってリアルタイムで読んでもらうしかありませんでした。
でもね。今の時代は、音読の弱点である、発音、リスニングをも同時に解決する初心者でもできる便利な勉強法があるんですよ。何だと思いますか?これは、シュリーマンの時代はできませんでした。そう、僕が度々紹介している、オーバーラッピングという勉強法です。
僕の記事をご覧になっている人はオーバーラッピングを知ってますよね。もし、知らないって方は、以前アップした「【完全保存版】今すぐできる!YouTubeだけで完結!リスニング学習法」という動画を御覧ください。
ここで詳しく解説、実演しています。他にも、オーバーラッピングを一緒にする教材として、以前アップした、海外ドラマ『フレンズ』を使った英語学習の動画「【解説付き/教材級】海外ドラマ『フレンズ』で英語学習!これ1本で英語の基礎がすべて学べます【字幕付き】」もおすすめです。この動画1本使ってオーバーラッピングの練習していただくだけでも、かなり、聞き取りは良くなります。
ちなみに、シュリーマンの音読には後日談があります。彼は、かなり声が大きかったようです。夜型だったシュリーマンは、ロシア語を学習している時、毎晩大声で音読をしていたそうです。その結果、うるせー、もう出てけ、って大家さんに2度も追い出されています。
ただ、その成果はすごいものがありました。大家さんに追い出されながらも、ロシア語も6週間ガチンコで音読学習でものにした後には、手紙で簡単なやり取りをしたり、日常会話ができるレベルになったそうです。音読、いや、今だったらオーバーラッピング。超おすすめの学習法です。もし、今、あなたがやってなかったら、ヤバいです。
Step3:英語で独り言・ネイティブレッスンと添削
Step3は独り言と添削です。
今まではどちらかというとインプット学習でしたが、このStep3はアウトプットです。
シュリーマンは1つ目の外国語である英語を学ぶ時、実に自分の給料の半分を語学学習に投じてました。半分ですよ。そこまでやるか?と思いますよね。当然、その一部は、学習中の言語のネイティブの先生にも支払っています。ただ、この頃のシュリーマンは安月給での丁稚奉公時代。そんなには払えません。だから、どうやってアウトプット学習の効果を最大化するか、それをめちゃよく考えてます。それがこの作文です。
ここにシュリーマンは工夫を加えてました。何かって言うと、自分が興味あること、これってその言語ではどういうのかな?と思ったことを事前にしっかりと調べて、作文してたことです。これ、今風にいうと独り言って言われる学習法です。
クラス受講前に、自分が言いたいこと、話したいことを準備してちゃんと書くという形でアウトプットする。書くのもアウトプットです。そして、クラスでネイティブの先生に添削してもらう。ここでのキーワードはフィードバック。必ずネイティブのフィードバックをもらってたということです。
独学のアウトプット学習は1つ気をつけなければいけないことがあります。何だと思いますか?化石化、「fossilization」という現象を防ぐことです。これは何かって言うと、一人だけでアウトプットをするとネイティブの添削、つまり、フィードバックがありません。そして、人間は一度癖がつくとそれが固定化してしまいます。
これが化石のように固まってしまう、「fossilization」という現象です。つまり、中途半端にアウトプットをするのは危険だということです。だからこそ、シュリーマンはお金が厳しくても、添削してもらう環境を作りました。
今の時代なら、理想はネイティブの添削。でも、ネイティブの添削が難しいなら、Grammarlyや最近だったらChatGPTとか使えばかなりできます。以前アップした「英語独学者必見!できる人はみんな使ってる英語学習ソフト・アプリ」の動画で詳しく使い方を解説しています。
さらにシュリーマンがもう1つすごいことがあります。それは、ここで学んだフレーズを暗唱、つまり、音読して次のクラスでちゃんと使えるようになっているのかまで確認してもらっていたそうです。これは、記憶の定着、という視点で、脳科学的にもとても正しい学習法で、第二言語習得論では自動化などと言われてます。実はほとんどの方がやってないです。
ただ、この記事では1つ、このシュリーマンの学習法を少しバージョンアップして紹介したいと思います。それは、リプロダクションという方法を少しアレンジして学習することです。具体的にどうするかって言うと、ネイティブに添削してもらった英語をさらに、少し言い方を変えて同じ意味の文を作ってみたり、あるいは、その文の構造をそのまま使って新しい文をつくる練習です。これは、めちゃ効果的です。
1つ実演してみます。
例えば、こんな感じです。
もし、僕がこんな独り言を書いてみたとします。
えっと、
この文章は間違ってます。
そこで、ネイティブがこんな感じでフィードバックしてくれたとします。
これは、主節が「didn’t think」で過去ですよね。だから、従属節となる「think」以下の後半(thatは省略)は「will」ではなくて「would」にしないといけないよ。ネイティブがこんなふうに添削・フィードバックしてくれます。なるほど。確かにそうだった。
シュリーマンはここで、この文章を何度も音読しろ、といってます。なので、「I didn’t think it would rain. I never thought it would rain.」これを何度もいって覚えます。掛け算で2×2=4、2×3=6、やりましたよね。文字の記憶を定着させるのは、確かに反復です。
そして、次のクラスで、先生との会話の中で「I didn’t think it would rain.」これが、自然と使いこなせるようになれ、そういってます。まぁ、これでも、十分効果的ですがちょっともったいないです。何がもったいないって、確かにこうやって反復すれば体で覚えることはできます。
でも、ちょっと状況が変わった時、応用して文を作ることができるようにはまだなってません。例えば、「I didn’t think it woud rain.」は雨が降ったときには使えますが、それ以外のお天気の時。例えば晴れる時は何ていうのだろう?といった応用はできません。これは、簡単で「I didn’t think it would be sunny.」とかでいいでしょう。ただ、これだけでも物足りないので、ここで一工夫します。
例えば、「I didn’t think」よりももうちょっと強く、雨が降るなんて思わなかったよ、ってニュアンスならこんな言い方もあります。
これは、I didn’t thinkよりI never thoughtだから、もう絶対にないくらいに思ってたということです。このあたりを理解した上で、状況を変えて見ながら自分なりに独り言をしてみます。
彼が自分を騙すとはまさか思いもしなかった
I never thought the store was closed.
お店が閉まってるとはまさか思いもしなかった
I didn’t think I could eat that much.
あんなに食べられるなんて思わなかった
I never thought of that.
そんなこと思いもしなかった
こんな感じです。こうして、「I didn’t think、I never thought」のパターンに慣れる。こういうところまでやった上で、文を作ってみてできればネイティブチェックを入れる。そして、その後、音読するとアウトプットも完璧です。皆さん、英会話教室、オンライン英会話のクラスの後、ここまでやってるでしょうか?
クラスをたくさん受けるのが大事なんじゃないです。クラスでフィードバックをもらうこと。そして、その知識を記憶に定着させること。さらに、自分で、リプロダクションをシてみて応用力を身につける。ここまでやると、アウトプット力がめちゃ高まります。
Step4:シャドーイング
Step4はシャドーイングです。これはオプションです。初心者の方はStep2のオーバーラッピングだけでいいです。ただ、ある程度実力がついてきたらシャドーイングをやってみてもいいでしょう。
シュリーマンはこう言ってます。
これは、録音機器がない時代のまさにリアルタイムシャドーイングです。
皆さん、シャドーイングご存知ですか?シャドーイングとは、外国語を習得するためのトレーニング方法の一つで、先生や音声テキストなどが発する言葉を、自分自身も同時に口に出して追いかける勉強法です。
つまり、音声を聞きながら、その内容をできるだけ速く、正確に、そして自然なイントネーションで口に出すことで、リスニングとスピーキングの両方のスキルを同時に養うっていう学習法です。聞こえてきた音を聞き取る能力、文の構造を理解する能力、それを数秒遅れで同じ文を言う必要があるので、かなりレベルの高い学習法です。実際、もともとは通訳の方などがやってた学習法です。
もし、自分はそれなりに英語できるよって方はシャドーイングやってみるといいでしょう。でも、まだ、自信がないなと思ったらStep2のオーバーラッピング/音読からで十分です。もし、シャドーイングやってみたいって方は、以前アップした「【完全保存版】今すぐできる!YouTubeだけで完結!リスニング学習法(TEDを使った)」という動画をご覧ください。こちらで実践しています。
にしても、録音機器もないし再生装置もない。そんな時代に、教会の神父さんの説教をシャドーイングのお手本にするってのは、凄まじいですね。これで上手にならないはずがありません。
Step5:短期集中と継続
最後です。Step5は短期集中と継続です。
Step1~4は具体的な手法ですが、もう1つシュリーマンが徹底したことは何か、というと言語習得は短期集中で一気にやるということです。
なぜだと思いますか?外国語を使えるレベルまで持っていくには数百時間単位の時間が必要です。一方で、私たちはどんどん忘れます。週に1回、1時間オンライン英会話受けてます、とかってのは、月に4時間、年間48時間。記憶は時間の経過と比例して忘れていきますので、効果を感じるレベルになる前にどんどん抜けていきます。
だからこそ、彼は「この言語を半年で仕上げる」と決めたら、必ずやってたことがあります。なんでしょうか?
それは、毎日最低でも1時間をその言語学習に使うことを決めたということです。1日1時間×30日で1ヶ月30時間、そして、6ヶ月やれば180時間。ギリギリ、変化を感じられるレベルです。そして、毎日継続しているので、記憶は忘れるより前にどんどん定着し積み上がります。
これが一定量を越したタイミングで、単語力、文法、読解などが噛み合って、リスニング、スピーキングなどが一気にできるようになってきます。彼は、ダラダラやってもだめなことを知っていたのです。
そして、一定のレベルになるといいことがあります。それは何でしょうか?スキマ時間など使ってダラダラ学習することができるようになるということです。例えば、Step4のシャドーイング。これも、一定レベルになった人なら、電車での移動時間、料理している合間、ソファで寛いでいるときなど場所を選ばずにできる学習です。そして、非常に効果的な学習法です。
ただし、前提条件があります。それは、シャドーイングができるレベルになってる必要があるってことです。彼は知ってたんですね。楽したかったら、先にシャドーイングができるレベルとなるところまでは一気に短期決戦でやれって。
これも、非常に理にかなった視点です。もし、今、この記事をご覧になっている方の中に、ダラダラ5年、10年と英語学習してるのに伸び悩んでる方いらっしゃったら、この短期決戦の視点、忘れないでください。
ちなみに、僕もガチンコで英語やったのは半年です。
その後はダラダラです。でも、一定レベルになってるとダラダラでも上達し続けます。だから楽しくて続くんです。
ハインリッヒ・シュリーマンと日本人の関係
はい、いかがだったでしょうか。
シュリーマン、すごい人だなぁ。こんな人いたんだ。そう思った方に、そのシュリーマンが日本に来ていたって話を紹介したいと思います。
シュリーマンが活躍したのは、日本で言えば江戸時代末期から明治期です。そして、実は彼は、江戸末期の日本に来ています。このことは、シュリーマンの別の著書、『シュリーマン旅行記 清国・日本』に詳しく記載されています。
彼は、日本人ついてこう言っています。
続いてこうも言っています。
そして、感動するのはこの一節です。
いかがですか?
シュリーマンが日本を訪問したのは1865年。江戸末期です。太平の世だった江戸が終わりを告げ、明治維新の端緒となる戊辰戦争がはじまったのが1868年です。そのわずか数年前のことです。江戸末期は、他にも天保の飢饉、大塩平八郎の乱、そして、ペリーの来航などもありました。日本という国も、日本人もみんな大変だった時期です。そんな動乱の時期に日本を訪れたシュリーマンが、日本の一般の人達を見て、このように肯定的に評し、かつ、欧米は見習うべきだと言っている。
特にこの頃はヨーロッパが産業革命を通じて、一足先に国力をつけて、帝国主義でアジア・アフリカを植民地にしていた時期ですよ。日本も一歩道を誤ると植民地になってたでしょう。ヨーロッパ人やアメリカ人がアジア人を奴隷や動物のごとくバカにしていた時期です。
でもね、僕らのご先祖様はちょっと違ったようです。それは別に英語が上手だったわけでもありません。英語は話せなかったかもしれないけど、街をキレイに保つ、賄賂は受け取らない。こういった、もっと、人として大事なものを通じて、シュリーマンに対してこの国は違う、と畏敬の念を抱かせたのでしょう。
いつも僕も英語のことばかり話してます。もちろん、英語が話せるに越したことはないですが、その前提として、やっぱりその言葉を操る人のハートはもっと大事だと思うんです。
シュリーマンを通じて、英語、そして、日本にもっと興味を持ってもらえたら嬉しいです。
まとめ
はい。今日のまとめです。
今回は、【18カ国語】語学の天才シュリーマンの外国語勉強法【誰でもできる】ということで、語学の天才、ハインリッヒ・シュリーマンの言語学習法を紹介しました。
今日のポイントは5つのステップです。
Step2:音読(オーバーラッピング)
Step3:独り言と添削
Step4:シャドーイング
Step5:短期集中
驚くべきは、第二言語習得論など様々な研究が進む中、シュリーマンの学習法は概ね正しかったことが実証されたということです。僕自身、まったく、こうしたことを知らずに歴史への興味から手に取ったこの本が自分の英語学習をガラリと変えてくれました。そして、成果もでました。自信を持って皆さんにも紹介したいと思って今回シュリーマンを紹介しました。
はい。ということで、いかがだったでしょう?
今日も最後まで見てくれてありがとうございました。これからも、みんなの英語学習のあるあるの落とし穴におっこちないよう、その対処法もたくさん紹介していきます。
今回の記事は、こちらの動画「【18カ国語の使い手】語学の天才シュリーマンの外国語勉強法【今すぐマネできる】」でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
それでは次回の記事でまたお会いしましょう。
Bye guys!