ハビットマン/大山俊輔
ジムで仲良くなった社長さんから小売・飲食の店長さん、そして、タクシーの運転手さんと話しているとかなりヤヴァい数値が聞こえてきます。
・ うちは、もうちょっとマシですが3割減です
・ 業界中堅の・・・がやばいらしい
・ この半年は一切設備投資はだめですよ
こんな感じです。
当然、うちだって影響出てますよ。
とはいえ、昨年どうも安倍首相が財務省に負けて増税しちゃう匂いがプンプンしていたので、先立って冬ごもりの準備してました。残念ですが予言的中で、日本経済はコロナちゃんにやられる前に増税で自滅してたので結果、半年以上前から動き始めてて正解でした。
で、ですよ。
今の所各国のコロナウィルスに対しての経済対策はこんな感じです。
🌎各国の財政出動
🇺🇸アメリカ
→100兆円(1兆ドル)経済対策!
+減税
(来月から手取りアップ)
+現金配布
(国民へ小切手GO!2週間以内)🇫🇷フランス
→マクロン大統領35兆の銀行融資GO!🇩🇪ドイツ
→60兆の融資額の拡充GO!EU
→全面的に見直す!🇯🇵日本
→麻生「モゴモゴ…」— ジャスティス様 (@Justice_pg) March 19, 2020
やっぱアメリカすごい。桁が違います。
そして、今までケチケチブリュッセルのEU官僚に緊縮財政されてたEU諸国も結構動き始めてます。
それに翻って我が日本。
いけてなさすぎる。。。。。
一応、セーフティーネットの拡充だったり各省庁のレベルで出来ることは頑張ってやってくれてはいますね。現場が現行法の範囲で出来るのはここまででしょう。
ただ、これって、台風だったり洪水の時の被災地で使うパッケージなんですよね。つまり、平時の中のちょっとした災害での対応の延長線なんですよ。
ですが、今回のコロナショックっていかがでしょう?まさにフランク・ナイトがかつて言った「真の不確実性」が顕在化した瞬間でしょう。だって、昨年12月時点でこうなることを想定してた人いませんよ。
・リスク (Economic Risk) – 確率分布(probability distributions)を推測できる不確実性
・真の不確実性 (Uncertainty) – 確率分布を推測することが不可能な不確実性
わかりやすく言うと確率分布とはどんな感じで起きうるかが過去の経験からだいたい予測できちゃうものです。例えば、
・ 一般の人がガンにかかって入院して死ぬ確率
・ 交通事故にあう確率
こうして並べるとわかりますが、既に人類がある程度経験しちゃっていて確率がわかるものですね。つまり、保険商品になってるものはほとんどがこのリスクに該当します。
一方で、真の不確実性とはどうでしょう?
確率分布を推測することが不可能な不確実性。
つまり、アクション系やパニック系の映画のネタになるような誰もが推測していない出来事です。
例えば、
・ 映画『インデペンデンス・デイ』のように宇宙人が攻めてくる
・ 映画『ワールド・ウォーZ』のようにゾンビウィルスで世界中が大変になる
・ 世界中の指導者が謎の地底人に操られて第三次世界大戦がはじまる
こんな感じです。
昨日、久しぶりにお会いした某不動産会社の社長さんはリーマン・ショックで以前働いていた会社が破綻しました。(そこから復活するのはさすがです)
ですが、彼はこんなこと言ってましたよ。
はい、そうなんです。
このコロナショックこそ、ナイトの言うところの「真の不確実性」が顕在化した瞬間なんです。
では、こんな時、人々はどうするでしょう。
かつてのFRB総裁だったアラン・グリーンスパンはナイトの真の不確実性を引用してこう言ってます。
アラン・グリーンスパン
そうなんです。
こういう時は最悪を想定して企業も個人も「キャッシュ・イズ・キング」になっちゃいます。
では、真の不確実性が顕在化した時の対処法の鉄則ってなんでしょう?
今までの、細かなことは一旦棚上げして持てるリソースを出し惜しみせずすべて投入して場当たり的でもいいから全力で対応する。
これが答えだとナイトは言っています。
アメリカ、ヨーロッパの指導者の使う金額を見てください。
数十兆円から100兆円クラスの金額ですね。
多分、もっと増えますよ。
そして、注目すべきはケチケチユーロ圏。
ついにブリュッセルの傲慢な緊縮官僚を駆逐するチャンスとばかりにナイトの真の不確実性を持ち出してお金を使う方向になってます。
これですよ。これ。
これが、私が1月時点で日本政府にやってほしかったことなんです。
残念ながら、今のところ日本は真逆にケチケチ、”Too little” “Too late”の様相を呈しています。このままいくと、日本は金融政策もショボ、財政政策はもっとショボ。結果として、リーマンショックのときと同じく、大恐慌の上に円高という展開が待ち受けてるかもしれません。
一抹ののぞみは、自民党内にもこんな声があること。
本日緊急経済対策の提言を提出。記事にはありませんが休業補償と事業者の失われた粗利補償も大きな柱として盛り込んでいます。融資では借金が増えるだけ。希望を持つことができません。絶望した事業者が廃業を選ぶ前に、希望の持てるメッセージを政府が強く打ち出さなくては。https://t.co/mD8uWXch9k
— あんどう裕(ひろし)衆議院議員 (@andouhiroshi) March 11, 2020
極めてまともなんです。ただ、私、今まで何度も歴史の長い日本型の大きな組織を見てきましたが基本失敗するんです。大組織内のまともな人の意見は抹殺されます。
残念ながら。
とはいえ、言われてることは経済学的にもまともだし、世界のトレンドにも合致しています。安藤さんはじめこうした有志議員が離党覚悟で今後行動取るならちょっとだけ期待します。でも、離党する根性なく、ただ、正論だけ言ってたら駄目ですよ。別に離党なんて大したことないですよ。かたや、日本津々浦の社長さんは今、本当に生きるか死ぬかで走り回ってるんです。それと比べりゃ、楽勝です。
ちなみに、日本型大組織のこうした弱点はここでまとめてます。
私はこれを日本病と名付けたいと思います。
日本人とジグザグ型進化(マクロデザインVSミクロ最適化)
ウィルスよりさらに怖い – バシー海峡、消費増税、コロナウィルスに共通する日本病
本来の民主主義の目的とは革命を伴わないレジームチェンジです。
いちいち革命して、王様の首をはねたりしてたらレジームチェンジできたとしても、犠牲が多すぎます。だからこそ、国民一人一人が国を護る覚悟で投票して、正しい政治家に権力を与える。これが趣旨のはず。賛否両論あれど、トランプさんやボリス・ジョンソンが選ばれるのはアメリカやイギリスの強さでもあるんです。
一方日本の大組織はどうでしょう?残念ながら組織が大きくなると陳情するやつ、声のでかいやつに負けてしまうんです。結果、少数の能力の低いノーメンクラツーラに全体が道連れにあってしまいます。
私は今回のコロナは日本を変える福音になると思ってます。
ただ、残念ながら今までの日本の歴史の常道をたどるとすると、一旦、現場が崩壊するまでこの状況が悪化することを通じてノーメンクラツーラですら、もうどうしようもなくなったとき、はじめて動くのです。
JALが破綻して再生するときも、ギリギリまでノーメンクラツーラたるOBはゴルフ会員権削られるの反対したでしょ?あれこそが、「ザ・ノーメンクラツーラ」です。でも、最後はそれどこじゃなくなって破綻してそこから一気に再生がはじまりました。ただ、そこまでグダグダ日本型大組織は中途半端に体力あるから続くんです。
となると、先の大戦になぞらえるとまだ今は東京大空襲前後でしょうか。まだ、余力がちょとあります。残念ですが、もうちょっとグダグダが続きそうです。。。。
この予想は以前こんな感じでゆるーくまとめてます。
日本はコロナとの戦いを『玉川区役所 OF THE DEAD』的解決を目指すが、経済との戦いで一人負けする予感・・・・
大山俊輔