大山俊輔
さて、以前マインドフルネスについて紹介をしましたが、その後、ニールズヤード・レメディーズさんで飯塚えみ先生のクラスを受講してきました。ということで、以前、下記のエントリを書きましたがもう少し理解が深まったと思います。
マインドフルネスとは~初心者なりに理解したその効果とやり方世の中、コロナ、コロナ、どこに行ってもコロナのニュースばかりですよね。
・ 今日は何人が感染しました。
・ ◯◯人以上感染が報告されたのは何日連続です
といったように、ネガティブなお話ばかり。
もちろん、マスコミの皆さまがネガティブなニュースに偏ってしまうのは理由があるわけです。
ほとんどのニュース(新聞含む)が良い習慣を蝕んでしまう3つの理由
さらに、経営者の方ですと資金繰りに不安を覚えたり・・・。
あるいは、働かれている方も今の仕事がいつまでも大丈夫なのか。
はたまた、実際にすでに職を失われた方もいらっしゃることかと思います。
そこに加わる形で、私たちおっさん、おばちゃんは仕事以外にも家庭の問題もあるわけで気持ちのバランスをあっという間に崩されてしまいます。そうなれば、せっかくの自粛生活をしていても、ストレスから自律神経もおかしくなって免疫も落ちてしまいます。
免疫が落ちれば、がんなどにかかるリスクだって増えてしまうのです。
マインドフルネスはこうした不確定要素の多い時代に私たちが自分自身と付き合うにはとても強い味方。
決して、おっさん、おばちゃんだけのために書いたわけじゃないのですが、忙しい人でもまずは、マインドフルネスのメリット・効用を理解し、そして、それをもとに初心者でもかんたんに実践できるものだけを紹介してみました。
目次
マインドフルネスとは・・・?マインドフルネスが注目される理由
まずは、マインドフルネスがなぜブームなのか?
マインドフルネスとはなにか?についてまとめました。
正直、マインドフルネスは実践するまでイマイチメリットがわかりません。
ヨガとの違いもわからないし、宗教?と思っちゃう人もいるかもしれません。
ですが、マインドフルネスは実践して暫く時間が経過してからその効果の大きさを実感するものです。
とはいえ、調べるのは面倒ですし、そんなおっさん、おばちゃん(もちろんそれ以外の方も)の背中を押すためそのメリットを中心にまとめてみました。
マインドフルネスの定義
人によって、マインドフルネスをヨガとの一緒のようなものと思ってる方もいるかもしれません。
あるいは、前述のようにちょっと宗教チックなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
でも、ちょっと違います。
そこで、Wikipediaから引用してみましょう。
マインドフルネス(英: mindfulness)は、今現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程であり、瞑想およびその他の訓練を通じて発達させることができる。マインドフルネスの語義として、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」といった説明がなされることもある。
この文章だと、定義の意味がわからない。
そんな方もいるかもしれません。
吉田昌生さんはその書籍『脳パフォーマンスがあがるマインドフルネス瞑想法』の中で、もう少し噛み砕いてこのように定義されています。
「今」という瞬間に常に注意を向けて、「あるがまま」を観察する「気づき」のトレーニングです。主な手法は、瞑想をすることですが、「今やっていることに、心を込める」すべての行為がマインドフルネスになります。瞑想や日常生活で心と身体を観察することで「気づく力(アウェアネス)」が高まります。
欧米でブームになり、その流れで日本にも広まったマインドフルネスですが、実は、日本に古くから伝わる、禅、茶道、柔道、剣道、弓道などの「〇〇道」と同じ流れをくむものです。さらにその源流をたどると、原始仏教の「ヴィパッサナー(vipassana) 瞑想」がベースにあります。
仏教の瞑想法とマインドフルネスとの大きな違いは、一般人にもわかりやすいように、仏教の瞑想法の宗教性を排除し、メンタルトレーニングの要素だけをとり入れているという点です。1970年代ごろから、西洋では、精神修養、心理療法、平和活動など、さまざまな分野でマインドフルネスがとり入れられてきました。
『吉田 昌生 – 脳パフォーマンスがあがるマインドフルネス瞑想法』より
マインドフルネスとマインドフルネス瞑想の違い
さて、マインドフルネスと言うと常に「瞑想」という行為そのものをイメージする方も多いかもしれません。マインドフルネスとは上記のように“Mind”(心)が”full”(満ちている)”ness”(状態)。
つまり、心の状態です。
飯塚えみ先生は、マインドフルネスのことを、
とおっしゃっていました。
私たちは今この瞬間に心を持って生きることがとても苦手です。
そこで、マインドフルな心の状態にするためのテクニック(手段)がマインドフルネス瞑想である。
こう理解するとしっくりきますよね。
マインドフルネスを構成する4大要素
Wikipediaと吉田さんの定義を通じて、マインドフルネスを理解するにあたりいくつかの重要なポイントがあることがわかります。私なりにいくつかの書籍と飯塚えみ先生の講座から、「マインドフルネス」な状態とはなんぞや?という質問に対して4つの要素が共通しているのではと思っています。
① present-centered(今、この瞬間に意識を向ける)
人間は「今、ここ」にいる時間よりも「過去」と「未来」について考えている時間が長い生きものです。
・ 今日は先日からのクレーム対応をしなくては。会社行きたくないな―。
・ 昨日、夫(妻)と喧嘩してまだムカつく。今日は話したくない。
・ このコロナの状況はいつまで続くのだろう。商売も不安だ。
などなど、私たちの心はあまりに多くのことが「未来」への不安や「過去」の後悔や憎しみ・いらだちにに囚われています。私たちはつねに、心が未来、過去、そして、不安との間を行き来している生き物なのです。
マインドフルネスの語源は仏教用語の「Sati:サティ」、漢字の当て字は「念」です。
「念」という漢字を分解すればまさに「今」という瞬間に「心」をもってくることです。
マインドフル瞑想はそんな分散した意識を「今、ここ」(present-centered)に向けて集中した状態にしてくれます。
瞑想をしていると、その最中ですら仕事のことだったり、体がかゆいことが気になったり、昔の嫌な体験だったり気持ちがあちらこちらに行ってしまっている自分に気づくことでしょう。しかし、マインドフルネス瞑想で重要なのは、「気持ちが未来や過去などあちらこちらにいっている」という状態に気づいて「今に戻してあげる」プロセスを意識的に行うことです。
慣れてくれば、徐々に頭の中が静かになって体にエネルギーが満ちてくることが実感できることでしょう。
② non-judgmental(判断をしない状態)
次の構成要素は“non-judgemental” ー つまり「判断を加えない」状態です。
私たちの脳は無意識のうちに、見たもの、聞いたもの全てに判断を加えてしまいます。
例えば、今ですとマスクをしていない人が街を歩いていたとしましょう。
人によっては、
「あいつは、マスクをしていないやつだ。けしからん。」
と思ってしまう人もいるかも知れません。
この時点で、私たちは見た出来事に対して自分の”無意識”の領域にある感情のフィルターを通じてレッテルを貼っているのです。
“non-judgemental”とは快、不快、良い、悪い、好き、嫌いなどの評価を加えない状態です。
解釈ではなく「事実」のみを客観的に観察します。
今の例ですと、
「今、けしからんと思った自分がいる」
とあたかも、映画で言えば出演者ではなく観客の立場に身を置くような状態といえばよいのでしょうか。このように「ジャッジ」しないで観察する訓練を通じて、自己洞察力が高まります。
③ ありのままの自分を受容する
“non-judgemental”ということはもう一つ「受容する」という意味を持ちます。
「受容する」とはつまり、「肯定もしない」、「否定もしない」、まず「受け入れる」ということ。すなわち、「ありのままを受け入れる」という状態です。
誰かにムカついている状態を想像してみましょう。
ムカつけばムカつくほど、その人の事で頭がいっぱいになります。
それよりは、
「今、◯◯さんにムカついている自分がここにいる」
と客観的に受け入れることができればどうでしょう?かなり冷静ですよね。
どうして「受容する」ことが大事なのでしょうか?
それは、受容せずに感情のフィルターに従って、不快を排除しようと思えば思うほどその感情は高まるからです。
そうなると、その人のことを考えるたびにあたかもあなたの感情のコントロールをその人に明け渡しているような状態になりますよね。嫌いな芸能人のニュースを見るたびに腹をたてたり、わざわざ、その人のスキャンダルなど悪い情報を探してしまったり・・・。あの時の心の不毛な状態です。
ジャッジしないとは、「受容」すること。 「否定もせず、肯定もせず、受け入れる」「ありのままを理解する」といい換えることもできます。または、「今という瞬間に心を開き続ける」「自分の呼吸や気持ちに寄り添う」「思いやり深く、感じる」といってもいいでしょう。
④ 脱同一化
最後の構成要素は「脱同一化」。
私の脳関係のエントリではよく書いていることですが私たちの脳は進化の過程で3つの動物が同居しています。「爬虫類脳」「哺乳類脳」そして「人間脳」です。
続かない理由と太る理由はどっちも同じ~タイムマシンで脳を知ればわかるしかし、私たちは圧倒的に大部分の判断や感情の処理を「爬虫類脳」と「哺乳類脳」という動物時代の名残をふんだんに残した部位で行っています。これらは、無意識な領域で本来はカロリー食いしん坊の脳の消費カロリーを節約すためのものですが、ここで起きることの多くを私たちは気づくことがありません。
怒りやストレスによりこれらの動物脳主導となると、感情をつかさどる扁桃体が活発になり刹那的な行動をしてしまいます。まさに、マインドフルネスの反対の状態であるマインドレスネスな状態です。こうなると、動物脳は無意識の領域ですので私たちの行動、判断は自動操縦状態で刹那的となります。いわば、全ての行動がSystem1主導、つまり、意識が介在せず無意識かつ感情的に処理されてしまう状態になります。
コロナストレスで離婚になったカップルが多いのもこうした感情制御が難しいこともその理由の一つでしょう。あるいは、資金繰りなど過度なストレスに追われる経営者の自殺率が高いのも、ストレスから動物脳優位になったときに刹那的行動をとることが原因です。
マインドフルネス瞑想は、感情的思考に気づくことから始まります。
気づいて、その思考を手放す。
「あ、今、自分は感情的になっている」
この状態が「脱同一化」です。
つまり、「自分」と「自分の思考・感情」は別物であると見る状態です。
わかりやすく言えば、思考そのものではなく、思考を観察している状態といえばよいでしょうか。
マインドフルネス瞑想を通じて、マインドフルネスな心の状態を作ることに慣れてくると気づく力(awareness)が高まります。今まで、感情により支配されていた「思考」と自分自身が同一だった状態から、「感情的思考」≠「自分」に切り替わります。
こうなると、刹那的行動を取る回数も減りますし、物事の意思決定もより自分のコアバリューに基づいた長期的視点で行う回数が増えてくることでしょう。
マインドフルネス瞑想の歴史
さて、少しだけマインドフルネス瞑想の歴史について触れてみます。
私もマインドフルネス瞑想の存在は昔から知っていましたが、どうしても入り込むのを躊躇ったのは「瞑想」=「宗教的」というイメージが強かったからです。
確かに、瞑想自体は昔からヒンズー教や仏教で行われていました。
マインドフルネスの語源も前述のように、仏教用語の「Sati:サティ」=”念”(悟りに達するための第一段階)を訳して”mindfulness”としたとと言われています。
ジョン・カバット・ジンによる体系化
そこで、1970代に1人のマサチューセッツ大学医学大学院の教授がこの仏教の瞑想に可能性を見出します。John Kabat Zin(ジョン・カバット・ジン)氏です。
もともと、分子生物学者だっジョンは、禅・ヨーガと西洋科学と統合さることで、人々のストレス、悩み事、痛み、病気に対応する手段として、マインドフルネス瞑想を発案し多くの患者を助けてきました。こうして、マインドフルネス瞑想の基礎ができあがります。
脳科学の発展と大企業による導入
fMRI(磁気共鳴機能画像法)などの登場や近年の脳科学の発展によりこのマインドフルネス瞑想の効果が科学的に実証されたのは最近のことです。
脳科学と脳研究の歴史また、こうした科学的な根拠が説明できるようになってからは大企業や公的機関での導入が始まりました。
2007年からGoogle社内で社員教育で導入されはじめ、チャディー・メン・タンによってGoogle独自のマインドフルネス「Search Inside Yourself」が開発されます。他にも、Apple、Facebook、マッキンゼー、Nasaなど名だたる企業、機関で人材育成、開発、リーダーシップ・プログラムとしてマインドフルネスが取り入れられるようになりました。
こうした背景を踏まえて見ていくと、うっすらと怪しく思っていたマインドフルネスを世界中の名門企業が続々導入するのはなにか大きなメリットがあるのでは?と思えますよね。
マインドフルネス瞑想に期待される効果
そこで、今度はマインドフルネス(瞑想)のメリットについて見ていきましょう。
当然大きなメリットがあることから、多くの企業や機関でマインドフルネスは導入されてきました。
それでは、このマインドフルネス瞑想を続けるとどのような効果があるのでしょうか?
集中力アップ:仕事・スポーツのパフォーマンスが上がる
間違いなく仕事のパフォーマンスはあがります。
マインドレスな状態の脳は「現在」「過去」そして「不安」の間を行き来してしまいます。仕事などでもマルチタスクをしている人は、同時に複数の仕事を処理していると思っていますが、実際は、複数のシングルタスクを行き来したタスク・スイッチングな状態です。
このマインドレスな状態は非常に脳を疲れさせます。
人類はマルチタスクができない!(マルチタスクは百害あって一利なし!?の理由)マインドフルネス瞑想を通じてマインドフルネスな状態になっている脳はまさにシングルタスク。「今」「ここ」だけに集中した状態ですので、1つ1つの仕事や作業を大事にして完遂していきます。当然、タスク・スイッチを繰り返している状態と比べて脳の疲労も遥かに少ないです。特に、GoogleやFacebookなどシリコンバレーにある会社では、スタッフの集中力低下に悩まされてきました。彼ら自身が開発するSNSやYouTubeこそ、人々から集中力を奪い取るオペラント条件付けを活用したアプリが多いわけで、ずるい話ですが(笑)自分たちの社員たちにはちゃんと仕事に集中してもらえるよう、マインドフルネス瞑想を取り入れているわけです。
ストレス低減による健康増進(特に免疫系)
マインドフルネスな状態とは「今・ここに・気持ちがある」状態。つまり、未来・過去・不安の中の往来が少なくなった健全な脳の状態です。
人は過去の不快なこと、未来の不安を妄想する時間が増えるとストレスをもつようになります。人は、ストレスを感じると哺乳脳の部分にある「扁桃体」が活発に活動します。こうなると、自律神経をつかさどる視床下部が脳下垂体を促し、コルチゾール、ノルアドレナリンなどのいわゆる「ストレスホルモン」を分泌します。
ストレスホルモンが分泌すると脳はいわゆる「ストレス反応」または「闘争・逃避反応」状態になります。扁桃体に脳が乗っ取られると、動物脳が優位となり私たちの行動は感情的、刹那的になり理性が働かなくなります。この状態が長続きすると、免疫系が弱まります。コロナが気になってたはずが、ストレスにより免疫が落ちてしまって風邪をひいてしまったという話もよく聞きますが、そこにはストレスも大きく関係しているのです。
また、初期のがんなどを攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)はストレスに弱いのですが、マインドフルネス瞑想を通じてNK細胞はじめ免疫系の細胞が活性化してくれることで、病気への耐性も高まることが期待できます。
脳の構造が変わる(脳の可塑性)
マインドフルネスな状態では、自分の思考や感情を客観的に見ることができるようになります。”present-centered”=つまり、今に意識を向けることで、過去・未来・不安や後悔との間の旅が減ります。また、マインドフルネス瞑想を通じて、脳の構造に変化が起こることが科学的に証明されています。ハーバード大学の研究によれば定期的に 30 分のマインドフルネスを8週間実践した人たちは、学習や記憶に関わる「海馬」の灰白質が5%増大、情動に関わる「扁桃体」は5%減少していたことが明らかになりました。
「扁桃体」が縮小すると、過剰な不安感や警戒心が減ります。。「海馬」や人間脳であり理性をつかさどる「前頭前皮質」の灰白質が増加するので、感情の調整能力(EQ)が高まります。この理想的な脳の状態になれば、さまざまな出来事を客観的に受け止めることができるようになります。つまり、脳がストレスを感じにくくなります。まさに、この状態は、ストレス過多の現代社会でよりよく生きるための脳の最適化とも言えるでしょう。
従来は脳は成人になると変わらないと言われていましたが、最近の研究で脳には「可塑性」があることが証明されています。
可塑性とは、つまり、訓練次第で後天的にスキルを獲得し、行動を変えていくことができるということ。つまり、大人になった後でも、マインドフルネスなどの訓練を通じて脳をよりよい状態にアップデートできることが科学的に証明されたわけです。
逆に言えば、スマホなどの使いすぎはドーパミンなどの過剰分泌を招き悪い方に脳をアップデートしてしまいますので要注意ですよ。
可塑性は脳を良い方に持っていくことに使うようにしましょう。
あるがままの自分を愛せるようになる
心地いい感覚も、不快な感覚も、よい、悪い、快、不快と分けることなく、ありのまま感じていく心のあり方を育てていきます。それにより、ダメな自分も、弱い自分も含めたありのままの自分を認め、受け入れる大らかさが養われていきます。 自分が感じている感情や欲求を大切にしていくと、自分自身との関係が親密になり、自分という存在そのものを信頼できるようになります。
定期的に瞑想を続けていくと、心が安定し、内側の幸福感が高まります。瞑想が深まってくると、身体は休息しながらも、意識は覚醒した状態になります。このとき代謝は低く、思考はしずまり、身体の感覚や時間の感覚が薄れてきて、周囲との一体感を感じるような心地いい状態になり、心の平安、静寂を感じ、静かな喜びに包まれます。その心の平安、静寂は、瞑想が終わった後、日常生活でもしばらく続きます。
本当の価値観や願望(=コアバリュー)に気づいて自分らしい人生を実現できる=挑戦回数も増える
マインドフルネス瞑想をしはじめると、自分の思考を日常的に観察することになれてきます。
「今日は●●さんのことで自分の気持が振り回されてしまったなぁ」
「お金の不安があるから、行動が取れなかったなぁ・・・」
自分の思考をこうして観察することができるようになると、「何が自分の人生にとって大事なのか」について考えることが増えてきます。
「自分にとって本当に大事なこと」、すなわち、自分のミッションやコアバリューとなる根本的な価値となるものです。
今まで、他人の評価や視線に自分の価値観が振り回されていた方はマインドフルネスな状態になることが増えてくるとこうした自分の本質的な価値を考える対談を自分自身と行う回数が増えてくるでしょう。マインドフルネスな状態になることで、自分の思考・感情を客観視することが出来るようになれば、今まで、無意識のうちにできあがっていた固定観念からも解放され、より自分らしい人生を実現することができるようになります。
そうすれば、自分のバリューから遠ざかりそうになったときも、本来の場所へ引き戻すことがより容易になります。
こういうことを繰り返すことで自分自身に対しての信頼感も増すことができるようになることでしょう。
また、マインドフルネスな状態になれば、過去の嫌なことや未来への不安に自分の心が振り回されなくなります。ということは、「挑戦する回数が増える」という効果もあります。多くの人が、チャンスがあるにも関わらず挑戦をためらう理由は失敗に対しての恐れです。
・ 英会話に自己投資したいけど失敗したらどうしよう
・ この人に賭けたいけどそれでいいのだろうか?
・ 起業したいけど不安だ
こうした不安は未来に対しての漠然とした恐れが原因です。
そして、失敗を恐れる最大の理由は『自己受容』ができていないからです。
ですが、マインドフルネス瞑想を通じて自分と向き合うことに慣れているとこうした恐怖の感情とも中立的につきあうことができるようになるのです。
蛮勇で乗り切る必要はありません。
マインドフルネスを通じた自己コントロール力を高めることさえできれば、恐怖や不安を客観化してうまく受容することで挑戦することに対してのハードルは自然と下がるからです。
おっさんマインドフルネスは3分マインドフルネス
マインドフルネスというと、1時間座禅してる人やヨガのポーズをとっているような人のイメージがないでしょうか?というのも、マインドフルネスの講師をしている方の多くは、もともとヨガや座禅の講師をしている方が多いので、もともとしっかりとやることに抵抗がないのです。
私なんて、座禅してたら数分で足がしびれます。
だからお葬式で畳間だと本当に遺族の方には申し訳ございませんが、今まで何度も立ち上がれなくてご迷惑かけています(泣)。
ヨガのクラスに参加しようものなら、迷惑をかけること間違いなしです(笑)。
ですが、私たちおっさん、おばちゃんにはしっかり瞑想をすると思えば思うほどやってみるのが気が重くなってしまいます。
しかし、前述のような効果を見ていくと、やらないのはちょっともったいないですよね。
そこで私が超推奨するのが3分マインドフルネスです。
慣れるまでは3分以上やらない。
姿勢も、必ずしもヨガのようなポーズを取る必要はない。
超シンプルなマインドフルネステクニックをおっさん・おばちゃん向けに3つ紹介します。
その1: マインドフルネス呼吸法
とてもシンプルで、下記1~3を行います。
① 基本姿勢
座る(椅子に座るもよし、地面に座り座禅を組むもよし)
② 呼吸に意識を向ける
鼻や口から息を吸う、吐く時に数字をラベリングする
(息を吸うときは「吸う」、吐くときは「吐く」とラベリングする)
④ 呼吸中に雑念が浮かんだとき
雑念が浮かんだことを理解し、ラベリングする
(仕事のことが頭を過ぎれば「仕事」とラベリング、過去のムカついたことを思い出したら「過去」とラベリング)
こうして意識をマインドフルな状態=つまり「今、ここ」に100%向けることによりDMNの活動が低下し脳の火照りが落ち着いてきます。
その2: ボディスキャン
次はボディスキャンです。少し頭が重いときなどに使えるテクニックです。
① 仰向けに寝る(座ってもOK)
呼吸に注意を向けて、マインドフルネス呼吸法を行います
② 頭、手足などのつま先に意識を向ける
③ 全身スキャン
自分が小人になった気持ちで頭のてっぺんから手の先、足の先までスキャンします
私はジムのサウナなどで誰も人がいなくて静かな時に座ってボディスキャンをしますが、これを終えた後は頭が軽くなります。
その3: 歩行マインドフルネス瞑想法(マインドフルウォーキング)
次は歩行瞑想です。
忙しい時など、自宅で3分の時間をとることすら難しいことってあります。
そんなときは会社に行くまでの間外で、あるいは、ランチタイムに社内でも構いません。歩いている時間をうまくマインドフルネスしてしまおうという方法です。
① スピードは自由だが、最初はゆっくり歩くのがおすすめ
できれば、最初は足がどのように地面に接触しているのか、離れていくのかを心の目で感じながら歩く。歩行速度は遅めで。
「右/左」とか「上げる/下げる」のように、自分の動き(ムーブメント)にラベリングする。
② 心が落ち着いてきたら、感覚への注意を全身に広げてみる
呼吸を観察したり、体全体がどのように足の動きと連動しているのかを観察しながら歩きます。
③ 五感を堪能する
聞こえてくる音、陽の光、風などに意識を向けながら歩いてみます。
ティク・ナット・ハンは”Walk as if you are kissing the earth with your feet”(一歩一歩が地球への口づけになるように歩きなさい)と言っています。普段意識することのなかった、歩行に意識することで、マインドフルな状態に気持ちをする訓練が通勤中や社内を歩くときですらできるようになるのです。
注意:雑念が出るのは仕方ない:ラベリングの勧め
瞑想のイメージから、マンガや映画などに登場する瞑想シーンのような完全に無の心の状態にすることがマインドフルネスと思ってしまいがちですがそうではありません。私も、ボディスキャンなどは極力呼吸と体の神経に意識を向けていますが、ついつい、仕事のひらめきが出てしまうこともありますし、時には、不安な感情がよぎることもあります。
これは、脳内でDMNが稼働しているのである意味やむを得ないことです。
むしろ、この雑念が出てきたときは、「あ、今雑念をした」とラベリングをすればよいのです。
・ 仕事のことが頭をよぎったら「仕事」とラベリング
・ 前の日のことが頭をよぎったら「雑念」とラベリング
・ かゆくなったら「かゆみ」とラベリング
あるいは、呼吸するときも、
・ 吸う
・ 吐う
や、「1」「2」と数字でラベリングをすると意識が呼吸に向かい効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょう?
私もそこまで深く理解しているわけではないですが、日々マインドフルネスを実践しています。
正直、この数ヶ月は経営者としてもかなりメンタルやられましたよ。コロナちゃんのせいで・・・・・。
会社も休業でこの先どうなるかわからない。
自宅にいる時間も長くテレビをつければ不安なニュースばかり・・・。
こんな状態で、正常を保つのは難しいですよね。
でも、マインドフルネス瞑想を行うことでこうした不確定要素が渦巻く今のような状況下でも感情のコントロールはそれなりに上手くできています。コロナ騒動も暫く続きそうですが、人生は長期戦です。
自分のコアバリューをしっかりと理解し見据えながら日々、脳が過去と未来と不安の間を行き交う回数をできるだけ減らせば時間を正しく使うことがよりたやすくなります。そう。私たちの人生とは突き詰めれば、「自分が何に時間を費やしたか」の集大成なのですから。
ありがとうございました。
皆さまが幸せになれますように。
大山俊輔(ハビットマン)