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新年の抱負はどこへやら・・・コロナで崩壊しまくった良い習慣を取り戻す方法 – その2(対処法解説)

ダイエット成功

大山俊輔

今日もハビットマンとして、前回のエントリに続いてのお話です。

さて、前回のエントリではコロナ騒動を通じて、自宅待機になった方、テレワークになった方などがなぜ、コロナ騒動前にせっかく積み上げていた良い習慣を崩していくかについて解説をしました。

ぽっこりおなか 新年の抱負はどこへやら・・・コロナで崩壊しまくった良い習慣を取り戻す方法 – その1(理由解説)

崩れていく仕組みはとてもシンプルです。

主に、良い習慣を構築していく過程で3つの峠(難所)がありますが、その中でも第2の難所で登場する突発的な出来事を通じた習慣崩落、そして、第3の難所で登場するモラルライセンシングと呼ばれる現象が、今回のコロナ待機のような急な環境の変化では起きることがあります。

それに拍車をかけて、悪性のストレスはせっかくできつつあった良い習慣を刹那的な行動で壊すのが大好きです。

こうして2ヶ月もイレギュラーな生活をしていれば普通の人は習慣を崩してしまうのです。と、ここまで崩れていくメカニズムのお話でしたが、今回は具体的にどのように良い習慣を再度取り戻していくのかについて10個の代表的テクニックを列挙しました。

実は、このトピックで本を書いているところです。

今回はこのなかでも使える代表的なテクニックを5つほど紹介します。すべて実践する必要はありませんが、ここで紹介するいくつかのものを試してみるだけでも6月中にはかなり戻すことができると思いますよ。

必ずやるべしテクニック

前回のエントリで10個のテクニックがあることを紹介しました。この中でも①ベビーステップ、②自分を責めない、⑥悪魔祓いをする(メディアから遠ざかる)、の3つは今回の自宅待機が長かった方が習慣を取り戻すのに特に大事なものです。

コロナで崩落した習慣を取り戻す方法!
  1. ベビーステップ
  2. 自分を責めない
  3. 粛々と行動を記録する(結果ではなく行動を記録)
  4. 時間割を作る(自分とのアポ)=約束
  5. 例外ルールの設定
  6. 悪魔祓いをする(メディアから遠ざかる)
  7. あえて恐怖と向かい合い長期的ゴールの価値と比較する
  8. 未来の自分との対談(Future Me作戦)
  9. 十分な睡眠と少なめのアルコール
  10. マインドフルネス

① ベビーステップ

ベビー・ステップとは、読んで字のごとく、赤ちゃんのような小さなステップということです。人は、

「やるからにはちゃんとしなくては」

と思ってしまいがちです。
しかしながら、そう思えばいつまでも着手しないけれども、なんか自分なりに頑張ってる気がするからです。

ですが、それは先送りであって物事は永遠に進みません。

特にコロナのようなことをきっかけに、通っていたジムやヨガ教室から遠ざかっている方は、スタートしたときと同じように再開するのも気が重いことでしょう。これは、脳の原始的な部位である爬虫類脳が主につかさどる、現状維持バイアスのせいです。2ヶ月も運動や習い事をせずに、自宅で動かない生活を続けていればそれが正常な状態になっています。

それを戻していくには、軽めのメニューで脳を騙していくしかないのです。そのためのテクニックがベビーステップです。

ちなみに私の6月1日~5日のジムで行ったベビーステップです。

1日:とりあえず、行くだけ行く。マシンフロアに行ってスタッフの方と雑談して最後はお風呂。
2日:トレーナーさんと超軽めのメニューで再開。
3日:ジム休み。会社まで歩く。
4日:トレーナーさんと少しメニューを重くしてやってみる。
5日:30分トレッドミルで早歩き。あとは軽いダンベル。

いかがでしょう?

ピーク時はベンチプレスを150kg挙げられるとこまで頑張ってたんですよ。私。ですが、同じペースを期待するのは自殺行為です。脳は一生懸命、運動しなくて楽だった4月、5月の状態が如何に楽しかったか誘おうとするのです。

もし、同じレベルでやろうとすると相当な現状維持バイアスが私のことを邪魔すことでしょう。だからこそ、当面は脳を騙していくしかありません。そのときに有効な方法がベビーステップです。ジムに行くことが気が重いこともあるでしょう。それは、ジムに行くという行為を、フルメニューで運動するということと脳が紐付けているからです。

例えば、ジムに行くという行為を時間別で分解してみてはいかがでしょう?

私だとこんな感じです。

・ 普段より1時間ほど早起きする
・ トレーニングウェアに着替える
・ ジムまで歩く
・ スタッフの方と雑談する
・ ロッカールームで他のお客さんと雑談する
・ マシンフロアで鍛える
・ トレッドミルで走る(歩く)
・ シャワー、お風呂、サウナ

これらの行為は、動そのものとは直結してませんが、ジムに行くという行為とつながっています。ここがベビー・ステップのポイントです。ジムに行くことがめちゃくちゃ億劫なときなら、この運動とは直結してないけど、「ジムで運動すること」と関係していることをするのだってベビーステップなのです。ベストは、物理的にジムに行くのが良いです。でも、それすら気が重ければ、こんなことだってOKなんですよ。

これだってベビー・ステップ!
・ 家でトレーニングウェアに着替える
・ ジムに行く途中まで歩く
・ ジムのホームページを見る

こんなこともベビーステップとしてカウントされます。
とにかく、0.1でもいいのでゼロリセットせず前にすすめることが大事なのです。

こうした軽いベビーステップであれば、現状維持バイアスの邪魔はかかりにくいです。そのうちに脳は、「ジムに通ってるのが正常な状態」として認識しますので、そうなればしめたもの。

徐々にメニューを重めにしていけばよいのです。
私の中では、いつも100人の町内会をイメージしています。私は5%の少数派(人間脳・意識)。一方、95人の現状維持派(動物脳・無意識)が邪魔をしようとしています。力押しでしっかりやろうとすれば、多勢に無勢。

ベビーステップを通じてちょっとずつ、多数派工作をしていきます。そして、少しずつ多数派を説得していくイメージですね。

② 自分を責めない

次は自分を責めないことです。

  • 「ああ、結局この2ヶ月1度も運動をしなかった・・・」
  • 「こんな時でもランニングをしてる人ってすごいなぁ・・・それに比べて自分は・・・」
  • 「友達はこの間もオンラインで英会話頑張ったって行ってたけど、自分と来たら・・」

こんな風に思いたい気持ちはわかります。(私も!)
ですが、振り返ってみるとあなたはこの2ヶ月お酒の量が増えたり、ゲームをする回数が増えたりしませんでしたか?

これは、「どうにでもなれ効果」と呼ばれています。
人はストレスを貯めて自己嫌悪になると、主に原始的な爬虫類脳の部位を中心として、報酬系と呼ばれる部分が活発に活動します。報酬系が活発になると、動物である人間は刹那的な行動をとってしまうのです。

たとえば、大食いで太りすぎて自己嫌悪になったときに憂さ晴らしとして一番ありうるのは、何でしょう?実は、さらに食べてしまうことなんです。

実際、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の実験で、肥満の女性に「肥満の従業員に対する、アメリカにおける職場差別」に関する記事を読んでもらったところ、この記事を読まなかったグループと比べて、2倍以上ものジャンクフードを食べてしまったという報告があります。同じことは、不幸系や恐怖を煽るニュースなどを見ると、刹那的な買い物が増えたりする現象からも証明されています(だから、ワイドショーはネガティブなお話が多いのかもしれません)。

さて、こんな2ヶ月は人生でそうそうあるものではありません。
というかあったら困りますよ。
そこで、一番大事なこと。

それは、「自分を許すこと」です。

「この2ヶ月は異常だったんだ。」
「まずは、小さくてもいいからちょっとずつやってこう」

まずは、こう思ってください。
そして、①で紹介したベビーステップをやってみてください。

アメリカの心理学者の実験でも、「人は、罪悪感を抱くよりも自分を許すほうが責任感が増す」という研究結果が報告されています。

厳しくするほど、悪性のストレスを溜め込んで更に上書きするような悪いことをしてしまうのが人間の脳なのです。それを理解しているのなら、この2ヶ月の自分をまずは、

「にんげんだもの」

と、相田みつお状態になってゆるしてみましょう。

⑥ 悪魔祓いをする(メディアから遠ざかる)

テレビ番組のコロナへの影響

さて、次は悪魔祓いです。
といっても、変なお祈りをするわけじゃありません。

まず、悪魔が出そうなものから遠ざかろう。
そんなお話です。

では、その「悪魔」とは何でしょう?
はい、ワイドショーです。

私は基本、家ではテレビは見ないのですが、外出先や待合室などでワイドショーを見る機会はあります。そこで確信したことは、ワイドショーは有益な情報を伝えることを目的としているのではなく、人々に不安を植え付けることで視聴率を稼いでいるということです。
テレビニュースは見ないアートボード 1 ほとんどのニュース(新聞含む)が良い習慣を蝕んでしまう3つの理由

まだまだ、このコロナウィルスはわからないことがあることは事実です。
一方で、いままで私たちの先輩人類は、実に数多くの不確実性と付き合ってこの文明を築き上げてきました。そもそも、ウィルスの存在が見つけられたのはわずか100年ちょっと前なんですよ。当時は、電子顕微鏡がなかったので見ることができなかったのです。

さらに、ウィルスよりも遥かに恐ろしいものが今も昔も世界中にはあります。

人類の野蛮性、無知、環境汚染、迷信、力が支配する国際関係・・・。

世界は遥かに不確実性が溢れていました。
乳児死亡率だって、今のようにほぼゼロに近い状態ではなく、つい100年前では1000人あたり150~200人もの命が当たり前のように失われていました。今も世界は腐っているといえば腐っていますが、この100年、数多くの犠牲を伴いながら確実に文明は発達し、世界は良くなってきたのです。

しかし、今の人より昔の人のほうがはるかに勝っていたものがあります。

それは現実との折り合いの付け方と前に進む力です。

メディアにより不安を煽るニュースばかり見ると、人の脳ではコルチゾールというストレスホルモンなどが分泌されます。一般的に、ストレスに対する反応を「ストレス反応」または「闘争・逃避反応」といいます。闘争・逃避反応がでてしまうと、脳と身体は自動的に生きるか死ぬかモードになります。そして、このモードになると、私たち人類が人類たる人間脳でもある前頭前皮質の活動が低下し、動物脳である哺乳類脳・爬虫類脳優位で行動をとるようになります。

つまり、人間脳がつかさどっている、意志力や自己コントロール力が活動しなくなるのです。つまり、哺乳類脳や爬虫類脳優位になってしまいます。これらは理性ではなく、動物としての本能の領域です。

新しいことに挑戦する(リスクテイクする)ことを嫌う現状維持バイアスなどがフル稼働しますので、そうなると今の惰性の状態が自己防衛だと脳は誤解してしまいます。これは、人類がアフリカのサバンナで他の動物たちと生存競争をしていた時の名残です。

ですが、私たちにとって今アフリカのサバンナでライオンに怯える必要はありません。むしろ、他の人間と差をつけるには自己コントロールして、運動したり、物事を中断せず続けたり、絶え間なく新しい知識やスキルを獲得するたゆまない努力をする力こそが大事です。今の時代、知識や健康こそが、本当の人間社会でのサバイバル力になるのですから。

メディアは視聴率が欲しいからこそ、一つ一つの病院での出来事や新宿のキャバクラのちょっとしたクラスターをあたかも日本の破滅する出来事のように取り上げてしまいます。彼らもお仕事なので、悪気はないのでしょう。しかし、これにより、あまりに多くの人が自己コントロール力を失うとするとすれば、そのダメージは大きすぎますよね。

こう書くと挑発的かもしれませんが、電子顕微鏡がなくウィルスの存在が知られていない時代でしたら、今回のコロナウィルスは悪性の風邪の流行として報道される程度で終わっていたかもしれません。

やる価値ありテクニック

⑨ 十分かつ規則正しい睡眠と少なめのアルコール

自宅待機が長い期間、皆さまの生活はいかがでしたでしょう?

多くの方がアルコールが増えて、そして、睡眠時間が不規則になったのではないでしょうか?

私も実際この2ヶ月は確実に酒の量が増えましたよ。
結果、毎朝計測している血圧も普段より10~20高めで二日酔いのまま自宅でリモートワークも何度かありあましたが、パフォーマンスの悪いこと悪いこと。

多くの研究により睡眠と脳の関係が明らかにされています。特に、脳の司令官たる人間脳たる前頭前皮質は睡眠をとっておかないと、機能せず、動物脳たる爬虫類脳や哺乳類脳の衝動的行動を制御することができなくなってしまいます。寝不足のときほど、ショッピングチャンネルなどで衝動的な購入をしてしまう傾向が報告されているのはこのためです。

では、良い睡眠を取るためにはどうすればよいでしょう?
やはり、規則正しく仕事を決めた時間に行い、そして、適度な運動と良い食事をすることでしょう。

リモートワークについては、現時点ではその便利な点のみに注目が集まっていますが一方で、すべての時間のコントロールを自分自身でできる人は稀です。多くの人は、働く気になるまで、ネットサーフィンしたり、途中で中断してしまったり、オンライン時間が長くなってダラダラ遅くまで仕事をしたのではないでしょうか?

こうなると、リモートワークの悪い側面が生活習慣にも出てしまいます。
結果として、ダラダラ仕事をして、食生活も乱れてお酒も増えてしまっている。

そう考えると、あの好きじゃないと思っていた職場に規則正しく行くことこそが、規則正しい睡眠を確保するための一つの手段なのかもしれませんよね。

⑩ マインドフルネス

有名人ではスティーブ・ジョブズから、アメリカはGoogle本社が採用したことで有名になったマインドフルネス瞑想。

瞑想といえば、少しスピリチュアルな感じで胡散臭いと思ってしまいがちですが、マインドフルネス瞑想はアメリカで発達し、宗教的側面をそぎ取って純粋に、今、この眼の前にあることに気持ちの焦点を持ってくるための訓練として使われています。

先ほどのように、ストレスにより「闘争・逃避反応」が出てしまうと前頭前皮質の活動が低下し、自己コントロールがしにくくなります。一方で、マインドフルネスで呼吸を整え、今ある状態に気持ちの焦点を持ってくる訓練をすることで、改めて、脳の司令官は力を取り戻すことができるのです。

アメリカ・ウィスコンシン大学の実験では、fMRIを用いてチベットの修行僧の脳波の計測をした面白い実験があります。キャリアの浅い修行僧であっても、一般人と比べて格段に前頭前皮質の活動が活発であることがわかりました。これは、前頭前皮質を形勢する灰白質がマインドフルネス瞑想によって分厚くなるからです。

また、マインドフルネスを通じて「闘争・逃避反応」が優位だった脳が「休止・計画反応」と呼ばれる状態になれば、脳の司令官たる前頭前皮質は力を取り戻し、長期的な目標を優先した判断をできるようになります。「闘争・逃避反応」は生死に関わる状態で、動物脳優位のため本能的な行動を優先しますが、「休止・計画反応」の脳は、今日明日ではなく半年後、1年後の自分に焦点を持ってきてくれます。

ストレス反応とはまさに正反対です。
こうなると、脳はまともな判断ができる状態になります。

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まとめ

いかがでしたでしょう?

習慣というテーマで今回のコロナ騒動を見ると、多くの方が悪しき習慣への揺り戻してしまいました。こうした社会実験を世界中の数十億人の人間が実験台となって行ったとも言えるでしょう。

正直、この世界人類の何%の人が、コロナ時も従来の良い習慣を維持できたかといえば、おそらく相当低かったと思います。私も仕事柄、それなりにこうしたテーマに興味を持っていますが、見事にメタメタでしたよ(笑)。

一方で、「良き習慣に立ち戻る」ことは、過去の研究から十分に可能であると言えるでしょう。それは、すなわち動物脳が支配する「闘争・逃避反応」状態から、人間脳優位の状態に戻るための道のりをうまく作ってあげればよいのです。

それが、今回一部紹介をした10個のコツです。

多くの方が、この2ヶ月の自分の堕落に嫌気がさしていると思います。ですが、ここで自己嫌悪に陥れば、ますます状況は悪化します。まずは、自分を受け入れ、許し、そして、ゆるーくベビーステップをしながら良い状態に少しずつ戻っていきましょう。

大山俊輔(ハビットマン)