大山俊輔ブログ ー 脳科学による習慣ハック・歴史・経済のサイト

新年の抱負はどこへやら・・・コロナで崩壊しまくった良い習慣を取り戻す方法 – その1(理由解説)

ぽっこりおなか

大山俊輔

今日はハビットマンとして習慣についてのエントリです。

6月1日から多くの企業が活動を再開しました。
コロナの話はおいておいて、リモートワークだった方、休業だった方。失職された方は、これから仕事を見つけ直さなければいけません。

人によって、大変さの度合いは違えど、何もかもが4月前と同じ状態でいられることはないでしょう。

このことは、習慣にも当てはまります。

・ 特にいままでジムで筋トレいい感じだった方、、、、
・ 英会話を頑張っていて、ちょうどペースを掴みかけていた方、
・ この夏に向けてダイエットをしていた方、、、

1月にたてた新年の抱負も風前の灯火・・・。
お腹も風前の灯火。

世界中の人がそんな状態だと思います。

では、ここでコロナに負けて来年に先送りしちゃおう・・・。
それはあまりにもったいないですよね。

そこで、今日はコロナで崩してしまった良い習慣を取り戻すテクニックについてまとめてみました。

第一編は、「何故、コロナにより習慣が崩れるのか」を、そして、第二編では、「どうすれば、良い習慣を取り戻せるか」についてまとめます。

コロナで習慣が崩れるメカニズム

今回のコロナ騒動は2月末の学校の休校あたりから本格化し4月・5月の緊急事態宣言によってクライマックスを迎えました。

1月からやせよう・・・・
今年こそ、英会話・・・・

そう思って、1月、2月からスタートしていた方も多いことでしょう。

また、その前からすでにはじめていて、すでにある程度通うことが当たり前にすることに成功した矢先にこのコロナ騒動が襲ってきた方もいるのではないでしょうか?

どちらの方も2ヶ月に及ぶ自粛期間ですっかり活動停止されていたことでしょう。そして、いずれのケースの方も「やってない」振り出しに戻ってしまっていると思います。

人間の頭には3つの動物が同居している

まず、ざっくりと解説すると人間の脳には3つの機能があります。

脳の構造(爬虫類脳、哺乳類脳、人間脳)

「爬虫類脳」「哺乳類脳」、そして「人間脳」です。人間の高度な脳は突如地球に登場したと言うよりは、進化の過程を通じて原始的な動物(爬虫類)、社会性を持った動物(哺乳類)そして、高度な思考を行う霊長類(人類)それぞれの脳の機能を共存させ、並列処理をしています。

(ここで紹介する概念はアメリカ国立精神保健研究所のポール・マクリーン博士の「「三位一体脳(triune brain)」の概念を用いています。現在では、細かな点でこの仮説に対して多くの反論が存在することは私も承知していますが、脳の全体的な構造と各部位の役割を理解する上で便利なため用いさせていただきます。)

爬虫類脳

まず、最も原始的な場所です。

爬虫類脳は生存のために重要な場所です。脳の中でももっとも原始的な場所で、脳幹や小脳といった脳の最も最深部で中枢神経に近い場所です。ここでは、呼吸、循環、運動など生存本能に関わることをつかさどっていて私たちが、その活動を意識することはありません。

脳幹など中枢神経に近い部分で処理されるということは、本能をつかさどります。多くの方が、新しい習慣を身につけることに苦戦するのは、新たに行動を変えようとすると、必死になって脳が邪魔をするからです。

これが、行動経済学でいうところの「現状維持バイアス」と呼ばれるものです。

哺乳類脳

「哺乳類脳」は「馬の脳」とも呼ばれ、哺乳類と共通の脳の部位です。場所としては、大脳の奥にある大脳辺縁系から大脳の表面のほうにある大脳新皮質あたりで、先程の爬虫類脳を取り巻く部分として存在しています。

哺乳類脳は、社会集団を形成する動物 ― すなわち哺乳類共通に発達した部位 ― です。哺乳類脳の中には、記憶をつかさどる海馬感情をつかさどる扁桃体といった組織が含まれています。社会集団ともなると、その挙動は複雑になりますので敵味方や競争相手を見分けたり、感情を表現する(哺乳類は怒っているのがよくわかりますよね)ために必要となります。

「哺乳類脳」の反応スピードは爬虫類脳に次いで速くほとんど意識することはありません。さらに、「哺乳類脳」のもう1つの特徴として可塑性があります。つまり、訓練次第で後天的にスキルを獲得し、行動を変えていくことができるのです。

犬が「お手」というと手を出して頭をなでてもらうというのもこの可塑性ですし、私たちが反復を通じて、掛け算の九九を覚えたり、スマホのフリック入力を覚えるのもこの脳の可塑性のおかげです。

私たちは習慣の多くを「繰り返す」可塑性の機能を活用して作っているのです。

人間脳

これは、類人猿や人類が発達させた部位で代表的なのは「前頭前皮質」と呼ばれる場所です。

「人間脳」までくると大脳の新皮質がじょじょに発達し、「感覚野」「運動野」といった新しい機能を持つようになります。

「人間脳」は「意識」に関連しています。私たちが行う数多くの「意識的な行動」や「やる気」には「未来」という概念と深く関係しているからです。私たち人間は動物の中で唯一、未来をシミュレーションする能力があります。

だからこそ、

「夏までに痩せたい」

とか

「来年までに英会話ができるようになりたい」

と自分の未来イメージを作り上げてはじめの第一歩を歩みだすのです。

習慣が崩れるのはこの3つのタイミングとストレス

ところが、今回のようなコロナ騒動が発生するとせっかくできあがりつつあった習慣が崩壊したりすることが多々あります。

私たちのスクールでは、習慣構築に際して3つの峠(難所)があることを紹介しています。これは、コロナのような騒動がなくても起きうるトラブルをまとめたものです。あなたが、どのタイミングで英会話やダイエットを始めたかにもよりますが、この時期を意識しておくことは、今後新しい習慣を作っていく上でも非常に役立つことでしょう。

これに加えて、自粛生活などをしているとストレスが発生します。この2つが習慣が崩れる最大の理由です。

3つの峠(難所)

ここでは、英会話やダイエット、筋トレなど多くの人が新年に思い立つ習慣にを前提にまとめてみました。この3つの峠を超す=つまり習慣化する=までには大体2ヶ月位の時間が必要です。

あなたが、どのタイミングでスタートしたかにもよりますが、例えば今年の1月から英会話をはじめた方でペースが狂ったと思う方ですと、2ヶ月目にあたりますので、第2の峠あたりが怪しいです。あるいは、昨年からすでに頑張ってた方ですと第1、第2、第3の峠はクリアしていたことでしょう。それでも、今回のコロナ待機で、ペースが狂ったと思っているのではないでしょうか?

私も筋トレをこの3年トレーナーさんにバッチリしてもらってましたが、今回、見事に崩れました。これは、おそらく自粛生活と過剰なメディア報道によるストレスだと思います。そして、ストレスは作り上げた習慣を崩すのに一役買います。

まずは、3つの峠とは何なのかについて解説します。

第1の峠: キーワード ― 三日坊主(最初の21日)50パーセント

最大の難所となる第1の峠のキーワードは「三日坊主」です。多くの人が、新しい習慣を作ろうとしますが、先程の爬虫類脳が持つ「現状維持バイアス」=すなわち潜在意識、は必死であなたを妨害します。

新しい習慣構築を断念した人の実に50パーセントがこの三日坊主のステージを乗り越えられずに終わっています。実際、私たちのスクールでも力足らずやめてしまった方の多くがこの第1の峠を越せなかった方です。もし、今年の1月か2月からはじめた方ですと、コロナで動きが鈍るまでの期間が1ヶ月以内ですので、そもそも習慣ができないうちに自粛生活が始まっていた可能性があります。

第2の峠: キーワード ― 油断大敵(21日~2ヶ月)35パーセント

次の難所となる第2の峠のキーワードは「油断大敵」

この時期もなかなかやっかいです。特に、この時期は習慣化されつつありますが、一方でちょっとしたことがきっかけで昔の悪い状態への揺り戻しもある時期です。とはいえ、第1の難所と比べると難易度は低いですが、油断大敵です。

第2の峠でストップしてしまう理由の多くは、急な仕事の繁忙期到来、飲み会シーズン、梅雨や台風によるペースの乱れ、などといった外的要因と密接に関係しています。今回ですと、コロナが当てはまりますね。

第3の峠: キーワード ― マンネリ(2ヶ月目以降)10パーセント

最後の第3の峠のキーワードは「マンネリ」。ある程度、習慣ができているはずが、なぜか、頑張ってる自分が馬鹿らしくなったりだれてしまう現象です。

心理学ではこうした頑張ってるときに、「もういいや」と思わせてしまう現象をモラル・ライセンシングと呼んでいます。またの名を、「サラダを見るジャンクフードが食べたくなる症候群」と呼んでいるくらいです。

結局のところ、100%習慣をコントロールすることは難しいので自分の脳内で起きていることを理解して、うまく付き合っていくのが解決策なのです。

悪性のストレス(戦うか逃げるか反応)

もう一つ、今回のコロナ騒動のようなときに起きうることは悪性ストレスによる習慣の崩壊です。

この先どうなるか全く状況がわからない不安も大きいですが、おそらく多くの方が陥ったのはテレビのワイドショーや一部のネットメディアによる、扇情的なニュースをキッカケとしたストレス反応です。

ストレスホルモンの分泌

私たちの体は、何らかのキッカケに様々なホルモンが分泌されます。緊張して汗をかいたり、呼吸が早くなったり、心拍数が早まったり・・・。

特に、私たちは不安や恐怖を感じると、哺乳類脳の部位にある扁桃体と呼ばれる(アーモンドのような形をしています)が指示をして、副腎からコルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンといったストレスホルモンを分泌します。そして、警戒モードを上げることにより、注意力を上げてくれるわけです。こうした、ストレスに対する反応を「ストレス反応」または「闘争・逃避反応」英語では、“fight or flight reaction”と呼びます。

ところが、ストレスホルモンの分泌は短期的には仕方ないのですが、長期化すると、免疫力の低下や血糖値の上昇をもたらします。特にNK細胞(ナチュラルキラー細胞)と呼ばれる免疫細胞の活動を低下させ、がんなどにかかりやすくなる副作用があります。

おそらく、今回のコロナ騒動 ー コロナで死ぬ方は1000名ちょっとかもしれませんが、以前アップした経済苦による自殺だけでなく、ストレスからくるガン患者などの増加などは今後報告されるのではと思います。何事もバランスですね。

ストレスと悪習の関係

あなたは、自分の気分が落ち込んだ時、何をしますか?

気分が落ち込んだときこそ、摂食ををします、筋トレをします、という方は少数派だと思います。多くの人は、コルチゾールなどストレスホルモンが過剰分泌されると、脳の報酬系を活性化させることをしてしまいがちです。

例えば、オンラインショッピング、SNS、ゲーム、そして、過剰な飲食。

ですが、気をつけましょう。例えば、喫煙が厳しいアメリカではタバコに警告を表示しています。「死亡の危険度が高まります」って。ところが、不安にかられた喫煙者達はどうするかというと、慣れ親しんだ報酬であるタバコだった、という研究結果があります。つまり逆効果でした。

同じようなことが、深夜のテレビショッピングにも言えます。多くの人は、不幸な事故や悲しいニュースを見た後実は何をしてしまうかと言うと、ショッピングなのです。意図しているかは別として、ニュース番組とテレビコマーシャルは一蓮托生の関係にあるといえるでしょう。

テレビニュースは見ないアートボード 1 ほとんどのニュース(新聞含む)が良い習慣を蝕んでしまう3つの理由
闘争・逃避反応が起きると、私たちは報酬系の誘惑になびくだけでなく、更には物事を先延ばししてしまいます。
  • ダイエットは来年からでいいや
  • 英会話頑張ろうと思ったけど、英語なんてなくたって大丈夫さ(汗)
  • 2ヶ月の自粛で筋肉が落ちたけど、別にそんな自分も嫌じゃないし・・・
こんなことが頭をよぎった方は要注意です。
すでに、闘争・逃避反応による習慣剥落が始まっているかもしれません。

おすすめの習慣を取り戻すテクニック

では、具体的にこうして崩れてしまった習慣を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか?

ここでは、3つの峠対策として私たちのスクールでも紹介されている代表的なテクニックとストレスを生み出しやすいメディアとの付き合い方を主体として紹介します。

詳しくは次のエントリで書いてみようと思っていますが、ざっくりと上げるとこんな感じです。

コロナで崩落した習慣を取り戻す方法!
  1. ベビーステップ
  2. 自分を責めない
  3. 粛々と行動を記録する(結果ではなく行動を記録)
  4. 時間割を作る(自分とのアポ)=約束
  5. 例外ルールの設定
  6. 悪魔祓いをする(メディアから遠ざかる)
  7. あえて恐怖と向かい合い長期的ゴールの価値と比較する
  8. 未来の自分との対談(Future Me作戦)
  9. 十分な睡眠と少なめのアルコール
  10. マインドフルネス

さて、この①〜⑩ができればあなたもきっとこの残り半年で習慣を取り戻すことができるでしょう。私も6月からジムでの筋トレを再開しましたが、今は①のベビーステップ中です。

では、次のエントリではこの中でも、今すぐ使える代表的なテクニックについて詳しく書いてみようと思います。
ダイエット成功 新年の抱負はどこへやら・・・コロナで崩壊しまくった良い習慣を取り戻す方法 – その2(対処法解説)

大山俊輔(ハビットマン)