大山俊輔ブログ ー 脳科学による習慣ハック・歴史・経済のサイト

最近よく聞く黄昏研修(たそがれけんしゅう)とは

黄昏研修とは

大山俊輔

こんにちは。習慣デザイナー・ハビットマンShunです。

仕事柄銀行の方とのお付き合いがありますが、最近、「私もいよいよ黄昏研修ですよ」なんて言葉を聞くことが増えました。

うちの会社の財務面を見てくれている元メガバンクの銀行員の方(50台)は40歳を前にして、飛び出して起業した方ですので、同期にもまだ数多くの方が残っているそうですが、この「黄昏研修」という言葉は50代に入ったバンカーの挨拶用語にもなってしまうそうです。

かつては、銀行員だけの間で使われていたこの「黄昏研修」という言葉。最近では、他の業界でも使われるそうです。

そこでこのエントリでは、黄昏(たそがれ)研修について解説しつつ、その後の人生戦略について紹介します。

今の時代、黄昏研修は銀行員だけに降りかかる問題ではありません。他の業界で働く人や、私のように起業してしまった40代の人間も、研修があるかないかは別として、セカンドキャリアを真剣に考えて、実行に移さなければこの厳しい時代をサバイバルすることはできないことでしょう。

是非、このエントリが皆さまのお役にたてますように。

黄昏研修とは

黄昏研修というのは、銀行業界で広まった言葉です。

表向きは、人生設計についての研修ということになっていますが、実態は、人生後半に差し掛かった銀行員たちが、退職までにどのようなことが起きるかを事前に伝え、備えさせるための研修です。

当社のCFOをしてくれている方も大手メガバンクの出身ですが、彼によると、黄昏研修は最近では40代で受講することが義務付けられるようになっているようです。

本体に残れるのは同期で数名という厳しい世界

銀行員というとたしかに他の業界と比べると給料が良いイメージがあります。データなどを見ていると、たしかに40代~50代前半までは、他の業種などと比べるとメガバンクで働く人達の平均年収は恵まれているのかなと言う印象です。

ですが、この現実は50代中盤から激変します。

今、黄昏研修が該当する世代はバブル~2000年前後に入行したグループ。ちょうど、50代の方ともなると、バブル期日本の銀行が世界ランキング上位を独占していた時に入行していた人たちです。一方で、バブル崩壊後、銀行は再編の時代を迎えてメガバンクとして残ったのは3行のみ。

当然、取締役や支店長になれる人数は統合前と比べて何分の1へと減っていますので、それ以外の方には厳しい現実が待ち受けています。

給料も40代と同じようには出せない。
だが、住宅ローンを組んで、子供もいて大学など一番お金がかかるときに50代を迎える人たちに現状の生活水準では厳しいということを研修するのが黄昏研修です。

給料も大幅に減少する現実

概ね、私の知り合いに聞く感じ、メガバンクであればこんな感じだそうです。

・ 50歳前半で3割減少
・ 60歳以降に雇用延長でさらに3割減少=当初の半分以下

実際、支店の窓口などでは、ATMの前に立たれているご年配の方が多くいらっしゃいますが、こうした方が再雇用された方なのでしょう。

もちろん、好きでやるならばいいのですが、いやいやだとすると辛いものですよね。

様々な選択肢が残されている

とはいえ、起業すればバラ色かといえばそんなことはありません。

売上が安定しなければ、赤字で持ち出しになりますし住宅ローンを解約し、賃貸に引っ越さなければいけなくなるかもしれないのです。

確かに人生の自由度は高まりますがリスクはそれを遥かに上回ります。
これが良いか悪いかは、あくまでも本人の価値観の問題でしょう。

目立たず、失敗せず、狙うは満額定年はもう難しい

一方で、多くの大企業のサラリーマンが不安を抱える理由は、自分が培ってきたスキルが果たして外部でも普遍性を持つかについて自信がないことも大きいのではないでしょうか。

確かに、自分の属する企業に特化したスキルを身につけることはその企業で最後まで面倒を見てもらうという点では合理的な判断です。実際、今の時代、大企業の正社員になれる人は非常に限られています。とても、恵まれた環境であることに変わりはありません。

問題をおこさず、なんとか定年まで残って退職金と年金を満額で受け取る。戦略的には正しいのかもしれません。一方で、今の時代、企業は簡単に淘汰されますし、仮に残ったとしても黄昏研修が待ち受けています。

本当の経験とスキルだけは残すことができる

となると、私たちに残されるのは経験とスキルのみです。それも本物の。では、このスキルをどのように身につけるのか。

正直、ここで会社が提供してくれる研修を受けたり役に立つかわからない資格をとっても今の時代は厳しいでしょう。

たとえば、銀行や他の大手企業のサラリーマンをしているとたまたまITが好きな方でない限りは、ブログの運営をしたり、動画の編集をする機会はないかもしれません。ですが、こうしたスキルは必ず、我が身を助けてくれるスキルです。

しかも、ブログ運営に必要となるサーバやドメインの管理費用は月額で数百円です。
あとはネットで探せば、多くの人たちがその作り方を解説してくれています。今まで、こういうことを考えたことのない人には、とっつきにくいことかもしれませんがやってみれば、なんとかなります。

例えば、

「私は銀行員で今まで会社に言われたままの仕事をしてました」

 

というよりは、

 

「銀行員として頑張りつつ、個人ブロガーとして月間◯◯万PVのサイトを運営しています」

という方が、間違いなく今の時代は外部でも通用しますよね。

基本、銀行員になれる方たちは地頭も良いので、やってみれば意外と早くスキルも身につくはずです。

20代・30代だったら取りあえず転職サイトに登録だけでもしておこう

また、このブログを読んでいて20代だったり30代の銀行員の方は、とりあえず残るにせよ自分の市場価値を理解しておくために、転職サイトなど登録しておくほうが良いでしょう

私の大学同期にも銀行マンは多くいますが、すでに40代に差し掛かった人たちは、

「もう、今更だし・・・」
「今の給料より安く評価されるのが怖い」

などといいます。

ですが、いいじゃないですか
別に転職サイトに登録するのはタダですし、転職したければお世話になればいいのです。黄昏研修を受けて残るのだって別に選択肢としてはあるわけですから。

結論:今の時代、自分でセーフティーネットをつくるしかない

ということで、黄昏研修について書いてみました。

私は20代で証券会社を去ってしまいましたので、今、銀行の現場にいる方からすると視点がずれているように見えるかもしれません。

が、起業して明日をもしれぬ人生を歩むようになってから、ある種の達観を得た気がします。

今までは証券マンということで、サービス業の人に無意識のうちに上から目線になったりしていましたが、日々頑張る人を見ていると自分自身がそうなりたいのですから、態度も変わります。

なんとか今は食えてますが、数年後はどうなるかわからない。
だからこそ、本業を頑張りつつ、こうして、ブログやYouTubeで発信することもするようになりました。今も良いときは少なく、大変なときのほうが多いですが、多分、死ぬまでこの苦闘と付き合いながら生きてくんだろうなぁと思ってます。

ハビットマンShun

最後に:アーネスト・ヘンリーの詩「Invictus」より

最後に、ちょっと青臭くなりますがアーネスト・ヘンリーの詩「Invictus」を紹介します。

人は心の自由さえ保つことができれば、どんな状況にあろうが、自分を見失わず生きていくことができると思います。映画『Invictus』でも登場しました、このヘンリーの詩は、自分が辛い時に見直す価値があるでしょう。

INVICTUS

 

私を覆う夜の闇、
地中深くに掘られた穴のように暗い闇の中で
私はどんな神だろうが感謝する
この屈服せざる魂を私に与え給うたことに

恐ろしい危機的状況の中でも
私はたじろぎも泣き喚きもしない
運命のこん棒に殴られ続け
頭は血まみれでも、その頭は下げない

たとえ怒りと悲しみの果てに
死の恐怖が迫っているだけだとしても
何年もの脅しに晒されようと
私は恐れていないし、これからも恐れない

いかに狭き門だろうが、
いかなる裁きの法が待っていようが関係ない
私は自らの運命の支配者であり
私は自らの魂の指揮官である