大山俊輔
英会話をはじめたぞー。
今年こそ、英語が話せるようになりたい。
こうして、毎年実に多くの人たちが英会話スクールに入学したり、語学留学をされます。
しかしながら、実際に、その中で半年後、1年後と経過する中で実際に英会話が話せるようになっている方は実に限られているのが実態です。
こうした人達に共通する理由は「続かない」ことにあります。
私は英会話スクールを14年運営していますが、それまでに8000人以上のお客様のお手伝いをしてきました。その中で、続かなかった方たちに共通する理由をパターン化しまとめました。
このエントリを読むことでどんなタイミングで英会話スクールやオンライン英会話での学習を中断してしまったかが分かります。また、別記事では、どのようにすれば、こうした「続かない」という問題を解決できるかについてまとめますので、あわせてご参照くださいね。
目次
そもそも普通の状態で人は英会話を継続できない
集中できないのがあたりまえなのを知らない
まず、多くの人が誤解してますがモチベーションがあるお陰で英会話はじめ新しい習い事などを続けられると思っています。
ですが、これは壮大なる勘違いです。
「英会話が続く理由は「英会話を続けている」からなのです。
なにか一休さんのトンチのように感じたかもいらっしゃるかもしれませんが、続く方はこの仕組をよく理解しています。
人の脳は新しいことを拒絶する
そもそも、私達人類の脳は集中したり、継続することができるように初期設定されていません。むしろ、集中しすぎたり、同じ事を続ける能力が高い人ほど生物学的には淘汰されてきたのが人類史です。
だって考えてみてください。
30万年前に私達のご先祖様はすでにアフリカに誕生していました。きっと、今、その中のひとりが現代社会にタイムスリップして育てられれば、普通の現代人になりますよ。
ということは、この30万年で私達の基本スペックは変わってないのです。つまり、アフリカのサバンナで他の動物と食べ物の取り合いをしたり、襲われないように逃げたりすることに最適化されているのです。
となると、サバンナで一つのことに集中したりずっと同じ事をやってたらどうなるでしょう?きっと、ライオンの餌になっちゃいますよね。
ですので、「続かない」のは能力がないわけではない。
そういうことをはじめに理解していただけますと幸いです。
英会話を途中で断念してしまう人の時期と理由
では、英会話を途中でやめてしまう人に共通するパターンを紹介します。
私達のスクールでは、「b 習慣化メソッド」というものをつくってお客さまにお伝えしています。この方法は、基本、上記のように人は通常モードでは続かないことを前提に、よくある失敗パターンとその対策をまとめたテクニック集です。
その事例の中でも、大きく分けて3つのタイミングで英会話を続けなくしてしまうポイントがあります。下記ではその3つのタイミング(難所)を紹介します。
第1の難所/50% – 三日坊主(最初の3週間)
予想した方も多いかもしれませんが、やはり、一番失敗する方が多いのは「三日坊主」という言葉に代表されるスタートしたばかりのタイミングです。
なぜ、人は三日坊主になるのでしょう?
それは、先程書いたようにもともとの人の脳のデフォルト設定が「今までやってないことは続けない」という風になっているからです。
脳は今までの体験を通じて慣れ親しんだことをなるべく続けようとし、そうでないものを拒絶しようとします。
歯ブラシを持ってみてください。
もし、右利きの方であれば左手で、左利きの方は右手で磨いてみましょう。
ぎこちなくないですか?
そして、ぎこちないとやっぱり利き手に戻したくなります。
つまり、「英会話をはじめて続ける」ということは、利き手以外の手で葉を磨くことを続けるのと同じ事なのです。ここで、脳は全力で新しいことをぶっ潰しにきます。
そして、多くの方が何故続かないのかがわからずに三日坊主で辞めてしまってしまうのです。概ね、この三日坊主の時期で断念する人の脳内はこんな感じのことを考えています。
・よーし、がんばるぞ!!(やたらモチベーションが高い)
・あ、明日は飲み会あるから予約キャンセルしちゃお
・うん、来週から本気出せばいいや
・いやいや、来月こそ・・・そして、
・そもそも、英会話なんて必要ないし、ま、これでいいや
英会話に限らず新しいことをはじめて続かない人はかなりこのパターンが多いのではないでしょうか。
でも、実は続いた人たちはここを実に上手に、しかも、ちょっとしたコツだけで乗り切ってるのです。ここで代表的なテクニックが「ベビーステップ」と呼ばれるテクニックです。
ベビーステップはあとで記載します。
第2の難所/35% – すれ違い(~はじめの2ヶ月)
次がすれ違いの時期です。
実は、先程の三日坊主を乗り切っても引き続き中断してしまう可能性は残っています。
特に働いている方などは、こんなことがきっかけになってしまいますね。
・ 普段通ってる時間にたまたま予定が入ってお休みする
・ 仕事(残業)やプライベート(結婚式など)の予定、風邪など引いて行動にムラが出る
・ 天候や急な予定で行動できない日が続く
すれ違い期は、安心した頃にやってきます。やっと、通うことが当たり前になりつつあるタイミングで決算期で忙しくなってしまったり、忘年会で飲み会続きになったりすると気持ちのバランスが崩れますよね。
このタイミングでは完璧主義の人は一旦完璧主義を捨て去りましょう。
なぜなら、こうした想定外の出来事というのは誰しもあるものです。
ここで大事なのは完璧主義になることではなくゼロリセットしないことを心がける。
これだけです。
習慣化が上手な人は、自分に対して柔軟な考え方を持つことができます。たとえば仕事で残業がある日は五分だけ勉強する、予習復習してないけど、とりあえず、ダメダメでいいからレッスンには行く。
ジムに通っている人の例のほうがわかりやすいかもしれません。
たとえば、私はかれこれ数年間ほぼ欠かさずジム通いしてますが、もちろん定期的に二日酔いにもなります。でも、そんなときも取り敢えずジムにはいきます。そして、マシンフロアには行かないけれどもサウナだけ入ります。あるいは、本当に面倒なときは家でトレーニングウェアを着替えるだけします。
大事なのは、三日坊主を乗り越えて少しずつできてきた習慣をゼロリセットしないで0.1でもいいので前に進めておくことです。潔癖症の人、完璧主義の人ほどここで自分が嫌になって挫折してしまいますが、これでいいんです。相田みつおみたいですね(笑)。
第3の難所/15% – マンネリ(2ヶ月目以降)
さて、最後がマンネリになってしまう時期です。
そこそこ英会話が続き始めると、こんな気持が頭を過ることがありませんか?
・なんか、同じ事の繰り返しでそろそろいいかなと思う
・頑張ってる自分がバカらしくなる
・マンネリ化し物足りなさを感じる
こうした症状は、心理学の世界では「モラルライセンシング(モラルライセンス)」とも呼ばれています。わかりやすく言っちゃうと、頑張ってると急に頑張ってる自分が馬鹿らしくなってしまう。そんな心理的症状です。
マンネリ期を上手に乗り切るには、ちょっとした「変化」です。ここでのポイントは身につけようとする習慣はそのままにすることです。変えるのは、場所などの環境だったり、盛り上がるときのご褒美といったものです。
わかりやすく変化を加えるものがあるとすると下記のように場所や先生を変えてみるのが良いでしょう。
・ 普段通ってるスクールと少し違うスクールにする(大手などで多拠点の場合はたまに別の拠点にいってみる)
・ 予習復習をする場所を変えてみる(お決まりのスタバから別の場所にする)
・ いつも受講してる先生と違う先生のレッスンを受けてみる
スクールの運営的には、お客さまがあちこち行かれたり、先生がコロコロ変えられるのはあまり好ましくないと考えるところも多いと思います。ですが、こうした運営側のデメリットをはるかに上回るメリットが生徒側にあるので、巡り巡って学校にとってもこうした仕組みを導入するメリットはあるのではないでしょうか?
代表的テクニック – ベビーステップ
最後に、誰にでもできて超簡単、そして、どの時期にでも使えるテクニックとしてベビーステップというものを紹介します。ベビーステップはとても簡単で誰にでもスグ実践できるものですが、とてもパワフルです。是非、参考にしてください。
ベビーステップとは
ベビーステップメソッドとは、読んで字のごとく、赤ちゃんのような小さなステップということです。
人はモチベーションの力で新しいことに挑戦しようとします。
ですが、続ける時にモチベーションに頼ると失敗します。続けるときには「続けること」を目的化するのです。
ベビーステップの具体的テクニック
続けることを目的化するベビーステップの簡単な方法があります。
それはやるべきことを小分けにして、その中の1つでもいいから習慣として定着するまで実践するのです。
例えばジムに通う人のあるべき全プロセスを分解してみましょう。
・ 週に1回ジムに行く
・ トレーニングウェアに着替える
・ マシンフロアでトレーニングをする
・ 走る
・ お風呂で汗を流す
・ サウナに入る
これをすべて完璧にこなそうとすると大変ですが、この中のなにか一つでもいいからやろうとすれば、なんとかなりそうですよね。こうして、分解したプロセスを一つでもいいから、目標とするペースで実行していくことをベビーステップといいます。
つまり、極端な話ですがジムに週に1回通って完璧なトレーニングをするのは難しいけど、スタートし始めたときは、取り敢えずお風呂に入って帰るだけでもいい。あるいは、トレーニングウェアに着替えて、少しトレッドミルで歩くだけでもベビーステップとなります。
大事なのは完璧にこなすことではなく、脳を騙してジムに通う状態が当たり前になるように慣れてもらうことなのです。脳は新しい行動を極力邪魔しようとしてきますから、まずは、脳が拒絶反応を起こさないようにちいさくこっそりと・・・。です。
まとめ
いかがでしたか?
続かない人は能力がないのではなく、自分(人間)を知らないだけであって、むしろ、完璧主義の人こそ危険だということが分かったと思います。
逆に英会話は続ければ必ず上手になります。
数学や物理といった科目が苦手だった方はひょっとすると適正があるかもしれませんが、英会話力は能力差ではなく継続力の差であるとも言えるでしょう。
今まで英会話で挫折してしまった方は是非、「上達する」ことを高い目標とする前に「まず続ける」ことを目標にしてみてはいかがでしょうか?
ハビットマンShun