大山俊輔
コロナ騒動でいろいろな人と今後の日本について話します。
そして、自分の周囲にはこんなに素晴らしい人たちが数多くいることに感謝しています。
でも、辛いこともあります。
今、4月・5月にすでにコロナで追い詰められている人の多くに共通すること。
それは、その人達の多くが挑戦する人生を選んできた人たちであることです。
- 自分の理想のサロンを作りたくて美容院を開業した人
- 自分なりの食を表現しようとレストランを開業した人
- 金融の仕組みを変えようとITベンチャーをつくった人
- そして私自身(笑)
私はこの20年以上続くデフレを恐れてきました。
いえ、心から憎んできたといっても大げさではありません。
なぜなら、デフレとは本来未来に向かって生きていくという人間性の否定であるからです。
目次
デフレとは?
デフレという言葉は多くの人が聞いたことはあるけど、イマイチその本当に意味することがわかっていない。そんな現象ではないでしょうか。
なんか物価の落ちるやつですよね。
こんなふうにざっくばらんに思ってる人が多いと思います。
Wikipediaでは、下記のように定義しています。
デフレーション(英: Deflation)とは、物価が持続的に下落していく経済現象を指す。略してデフレと呼ぶ(日本語では物価収縮[2]とも)。対義語には物価が持続的に上昇していく現象を指すインフレーション(英: Inflation)がある。
この定義をもう少し噛み砕くと、お金を長く持っていれば持っているほど、買えるものが増える(つまり安くなる)という状況です。つまり、モノや知識よりも、お金を持っている人ほど、そして、後から使う人ほど有利になるというゲームと言えるでしょう。
その意味するところは、
- デフレ下ではお金を使ったら負け。
- リスクを取ったら負け。
ということになります。
デフレが導く世の中
当然ですが、継続的に物価が下がる可能性のある世の中ではどのように行動するのが合理的でしょう?
- リスクはとらない
- お金は極力使わない
- 安定した仕事をする
基本こういうインセンティブを人々に取らせるようになります。
ですが、こんな時でも挑戦したいと思って果敢にリスクを取る人は少ないなりにいるものです。
デフレの時代に初期投資を必要とするチャレンジをするということは、価値が上がっていくお金を一旦手放して(それもかなりの額を)、それ以上に増やすことに賭けるということです。当然、デフレでは後出しジャンケンが有利になりますので、お金をギリギリまで使わない人たちのほうが勝率が高く、早めにリスクをとる人には不利に働きます。
だから、デフレ時代は起業家冬の時代になり、リスクを取らない人が有利になってしまうのです。
デフレは人間性の否定だ
こうして、社会全体が挑戦する回数の少ない世の中になっていきます。
これが、この20年間の日本で起きた現象です。
このことは、実際に日本の労働市場の変化を見てみるとよくわかります。
明らかに自営業が減っていますよね。
日本の労働市場の変化
人間と動物の一番の違いは「未来」を見据えて生きることができるか否かです。
他の動物は(仮に賢いとされる犬やイルカや猿であっても)未来を見据えて生きていくことができません。確かに、過去の経験に基づき数秒、数分先の近未来を予測することはできます。たとえば、イルカが魚の群れを追いかけるときに仲間どうしてコミュニケーションをとるというのはその一例です。
ですが、1年先、10年先、あるいは自分が死んでからの世代のことも考えた行動を今この瞬間に行えるのは人間だけです。
今この瞬間にとった行動やリスクがなにか必ず未来につながる。
そう思うからこそ、行動を取れるのです。
一方で、デフレはこの「未来に向かって生きる」という人間の根源的な願望を殺してしまいます。
つまり、先に行動するメリットが薄れてしまうわけです。
もし、何千、何万、何百万という人がこうした逆回転するインセンティブに基づいて、本来取るべき行動やリスクを取らずに、時間だけが過ぎていくことを想像してみてください。行動しなくても時間だけは過ぎていくのです。
これが如何に恐ろしいかわかりますよね。
お金や経済だけで私はデフレを非難しているのではありません。
デフレは人間の未来を奪うから私は嫌いなのです。
コロナ時代における生き残り組の特徴
さて、この前提条件を理解した上で今のコロナを通じた経済のストップ現象を見てみましょう。
今、苦しんでいる人の多くはこうしたデフレの日本の中で比較的変わり者でリスクを取ってきた貴重な人たちです。あるいは、企業もリスクを取って先行投資をしてきた貴重な会社が多いでしょう。
(もちろん、その前から経営危機に陥ってた会社もあります)
コロナに伴う経済ストップが怖いのは、リスクを取ってきた人、企業から先にダメージを受けます。
そして、継続を断念して供給能力は毀損されます。
コロナ終息後には、生産設備の毀損や失業により今度は供給不足になります。残念ながら生き延びるのは、従来リスクを取らなかった企業や個人です。ひょっとすると、供給体制のないまま不景気になれば、最悪のスタグフレーションになる可能性もあるでしょう。
積極的に未来に向けた設備投資や研究開発をしてきた会社ほど淘汰され、何もせずキャッシュだけためてきた会社が生き残ります。リスクを取らず、最後の最後まで定額の給料が入ってくる仕事や、年金生活をしている人が生き残ります。
残念ながら、コロナ終息後に、こうした企業や個人ばかりが残ってもポストコロナの世界はむしろ未来のない社会になってしまいます。
そして、こんなタイミングで登場する可能性があるのはどのような勢力でしょうか?
- それまでリスクを取らずにずっとおとなしくキャッシュをためていた会社。
- あるいは、早々にコロナ対応を終えて反転攻勢をしかけてくる海外の企業。
こんな会社にとって、バーゲンセールが始まろうとしているのです。
仕組みを変える時が来た
いかがでしょう?
残念ながら私はコロナ問題がはじまる20年以上前からデフレに転落した日本で天を仰ぎつつ、少しでも一矢報いたいと思ってショボいなりにリスクテイクをしてきました。それが自分なりのジェームス・ディーンだったんです(笑)。そして、同じように頑張ってる多くの仲間を得ることができました。
ですが、このコロナ問題はこうしてリスクを取ってきた仲間の多くを追い込んでいます。
今までは民間人としてちょい発言をするにとどまっていましたが、最近の日本を見ていると個人の努力以上に高いハードルを永田町や霞が関が押し付けてきて、結局長いものに巻かれる方が楽、というふうに世の中の風潮も変わりつつある気がして心配でなりません。
なぜなら、日本はこれで一度戦争に突っ込んで1億総玉砕のボロ負けしてますから。
となると、やはり参考になるのは同じようなグダグダの時代に過去の日本人はどのように国難を乗り越えてきたのか。
維新回天の精神が求められる時期になってきたのかもしれません。
私も、今回それなりの借金をして続けることを決めた時点で後戻りできない覚悟はしました。
晴耕雨読の日々に戻れるのは、この戦いに勝ってからです。
私も一個人としてがんばります。
大山俊輔
PS:動画でも話してみました