- ドラえもん緑の巨人伝の解説がしりたいのあらすじが知りたい
- 大人が見ても面白い?
- 原作との違い
- 登場キャラを知りたい
- 緑の巨人伝はジブリに似ている?
- 緑の巨人伝のリーレについてしりたい
本記事では、ドラえもん『新・のび太の日本誕生』のこのような疑問にお答えします。
ヌー
賛否両論のある緑の巨人伝ですが、この記事で話しの軸をわかりやすく整理します。そして、作者の作品に込めた想いが分かると、この映画に対する評価も変わって印象も違ってくると思います。
また、ドラえもんの歴代映画の一覧とランキングをまとめたページも作ってみました。
どのドラえもん「のび太の・・」シリーズをみてみようか悩んでいる方はこちらのエントリもご参照くださいね。
目次
あらすじ
キー坊との出会い
遥か宇宙の彼方から地球の自然が破壊されていっていることを危惧している宇宙人がいました。原因は人間にあると考える宇宙人たちの中では、人間の暴挙を止めなければいけないという機運が高まっています。
裏山で昼寝をしているのび太は、1本の苗木が気になり家に持ち帰ります。ドラえもんの【植物自動化液】というひみつ道具で苗木は自由に動けるようにし、『キー坊』と名付け可愛がります。
普段はペットを飼うことに反対するママにも気に入られ、野比家の一員として受け入れられていくキー坊でした。
失われていく森
しずかたちにもキー坊を紹介し、裏山に遊びに行くと、伐採で穴だらけになった場所を見つけます。その先は、新興住宅地に変わっていっていました。
部屋から裏山の森の方を見て、たそがれるキー坊。ドラミが来て、ドラえもんの修理が必要な道具を運んでいる間に、キー坊は1人で出かけてしまいます。
キー坊は赤いジョウロを持つ女の子と遊んでいました。勝手にいなくなり、心配したのび太でしたが、女の子と遊ぶキー坊を見ると、怒る気も失せてしまいます。
のび太達と裏山に来たキー坊は、ゴミの下敷きになった苗木のことを知らせ、2人でゴミをどかして苗木を救います。
ゴミに埋もれた木がまだあるのではないかと、ドラえもんや他の仲間と裏山の掃除を初めます。ドラえもんの【片付けラッカーデラックス】を吹きかけられたゴミに振りかけると、ゴミが自分で元の持ち主の元へ帰っていきます。キレイになった裏山をキー坊も喜びます。
持ち主の元に帰ってないゴミがあり、もう一度片付けラッカーを吹きかけると、裏山の奥に帰っていきます。キー坊が追いかけると、そこには同じようなゴミが無数にありました。キー坊を追ってのび太たちが近付いた時、空に大きなブラックホールが発生し、皆吸い込まれてしまいます。ドラえもんも吸い込まれますが、ポケットからタンマウォッチが落ちてしまいます。
地球の緑が破壊されている
不思議な場所にたどり着いたのび太たち。どうやら宇宙に来てしまったようで、そこからは青い地球が見えます。その星の兵士に追われ、囲まれてしまうのび太たちでしたが、兵を率いる植物型宇宙人シラーから緑の星の都市に案内されます。
緑の星の議会では、地球で人類が森林伐採をしていることが問題になっています。すみやかに植物を救い出すという意見と、植物がないと動物も酸素がなくなり息絶えてしまうので可愛そうだと言う意見に分かれています。
「全ての緑のために、緑の国王として戦うことを誓う」
と、語る女王は、緑の巨人を復活させ戦いを挑むと宣言します。
森の民の村
議会の後、地球人は罪人として捕らえられます。ドラえもんの道具を使い何とか牢から脱出します。キー坊は長老ジィに助けられ、のび太たちと合流します。
キー坊と合流したのび太たちですが、女王の追跡にあい、一緒に遭難してしまいます。森の中で、キー坊は水不足で歩けなくなってしまいます。その時地中から人が現れ、水の場所を知っていると言います。ヤマと名乗るその少女は、ジャイアンが知り合いに似ていると言い、ジャイアンと一緒に水を探しに行きます。水源からヤマは水を持ち帰り、キー坊も元気になります。
しずかは寂しそうな様子の女王が気になります。しずかから皆の輪に入るよう誘われます。自分も加わっていいのかという女王に、しずかは優しくうなずきます。
姫は「リーレだ」と、名を名乗り輪に加わります。
森の民とくつろぐのび太たちの前にシラーが現れ、緑の巨人による地球人絶滅計画を進めていると告げます。
長老ジィも現れ、緑の巨人の力を使っても何も生み出さないので、よく考えるよう語りかけますが、聞き入れられません。緑の巨人を復活させる鍵となるキー坊は連れて行かれます。
緑の巨人の復活
キー坊を早く助けようと、泣きながら訴えるのび太。長老ジィの手引きで地球に戻りますが、地球は植物に覆われてしまっていました。
地球が滅ぼされてしまったと絶望しますが、ドラえもんが落としたタンマウォッチで地球の時間は止まっており、時間が動き出す前に元に戻せば大丈夫と分かり安心します。
時間が止まっていることに気付いたシラーは、人類を絶滅させるため、リーレに緑の巨人復活を求めます。リーレは、緑の巨人復活の儀式を始めますが、キー坊が逃げ出します。逃げ出したキー坊は、赤いジョウロが落ちているのを見て怒りを爆発させます。
キー坊の怒りで緑の巨人が蘇ります。無差別攻撃え全てを焼き尽くそうとする巨人の前にのび太が立ち向かいます。
キー坊は緑の巨人に飲み込まれ、もはや感情も持たず緑の敵にもなったと言うリーレに対し、のび太は「キー坊が僕のことを忘れるわけがないと信じている」と、ボロボロになりながら叫びます。
キー坊の旅立ち
のび太とリーレは巨人の内部に取り込まれます。そこでのび太が見たのは、力を吸い取られ変わり果てたキー坊の姿でした。キー坊に水をあげようとしますが、バリアに弾き飛ばされます。
何度跳ね返されても諦めないのび太。愚直な行動に見えますが、リーレも心動かされ力を貸します。2人は何とかキー坊に水を与え、緑の巨人の呪縛からキー坊を解放します。
キー坊と共にドラえもんやシラーたちも解放されます。同時に、美しい緑の星の内側に、戦争で荒廃した土地が姿を表します。かつて緑の巨人が滅ぼした文明です。シラーは緑の巨人を復活させたことを後悔します。キー坊を失ったことで崩れていく緑の巨人は、緑の星を土砂で覆い尽くし緑が失われてしまいます。
のび太とキー坊の姿に希望を抱いた長老ジィは、最後の力を振り絞ります。長老ジィの力で、地球と緑の星に花が咲き緑が広がります。
リーレは議会で対話を選択すること、地球に猶予を与えることを訴えます。言葉を話せるようになったキー坊も、皆の前で地球人がいずれ緑を取り戻してくれると演説します。
地球に帰ったのび太たちに、キー坊はここでお別れですと言います。長老の様になりたいと、緑の星に残る決意を語るキー坊は、リーレたちと共に宇宙に旅立ちます。
家に帰ったのび太とドラえもんをママとパパは優しく迎えます。キー坊が一緒でないことには気付きますが、多くは聞かずいつもの野比家の日常に戻ります。
登場人物
キー坊
本作の原案となった原作『さよならキー坊』にも登場する、擬人化した地球の木。好奇心旺盛で、のび太たちから離れて単独行動することも多い。怒りで緑の巨人を復活させる程の力を持っています。最終的に植物型宇宙人と行動を共にすることになる、好奇心と勉強心旺盛な木です。
リーレ
緑の星の女王。両親を失ったことで若くして女王に即位せざるを得なかったようで、女王としての責任感はありません。
シラーが人類に戦争をしかけようとしても関心を示さず、緑の巨人を復活させることは大きなリスクを伴うと長老ジィに忠告されましたが、結果を考えず安易に復活させてしまいます。 無関心、無責任、ひねくれた性格ですが、しずかやのび太の優しさに触れ、成長します。見た目はスターウォーズのアミダラ女王をジブリ風に描いた感じです。
老ジィ
神のような存在です。『長老ジィ』とクレジットされていますが、作中で誰も長老ジィと呼んでいないので違和感があります。
緑の巨人に滅ぼされた星を命がけで蘇らせるほどの力を持ち、のび太たちだけでなく、全ての生物に大事なメッセージを伝えます。
シラー
緑の国を実質支配する大臣。女王リーレが無関心なのを良いことに好き勝手に国を動かします。
地球人が植物を虐待していると言い、地球人を絶滅させようとしたり、そのために緑の巨人を復活させようとしたり、独裁者的な行動を取りますが、最後はあっさり自身の非を認めます。
ヤマたち森の民
早い段階からリーレがその存在を口にしたことで、特別な意味を持つ種族に思えましたが、実際あまり活躍しません。何のために出てきたのかよく分からない存在でした。ジャイアンにそっくりの森の民が出てきますが特に活躍ありません。
ジョーロの女の子
キー坊と仲良くなる女の子。赤いジョーロで遊んでいる所に通りがかったキー坊と仲良くなります。木が動くことに違和感を覚えず受け入れる心優しい女の子です。
この子の持っていた赤いジョーロが落ちているのを見て、少女の身に何かあったと勘違いしたキー坊の怒りで、緑の巨人が復活してしまいます。
みどころ
賛否両論、様々な解釈ができ、謎も多い作品です。今となっては、カオスな部分が多く見どころ満載です。
原作の『さよならキー坊』では、のび太とキー坊の出会いと別れ、キー坊の成長がメインで描かれています。それは本作でも同様に描かれています。終盤キー坊が、「地球人は必ず緑の地球を取り戻してくれます」と、植物型宇宙人を説得する場面はハッとします。我々はキー坊の期待に応えることが出来ているのかなと考えさせられる場面です。
キー坊が旅立っていく場面に関しては、旅立つ子を見るようで涙が流れますね。
シラー達植物型宇宙人の議論も見どころで、考えさせられます。植物の立場に立つとそう考えますよね。
小学生には少し難しいようにも感じる本作ですが、大人にはこれまでの劇場版ドラえもん以上にダイレクトなメッセージが込められていますね。
森の民が何のために登場したのか、ジャイアンそっくりのモヤが登場した意味は何なのか、謎は深まるばかりです。
様々な解釈ができ、コアなファンになればなるほど深く味わえる作品です。
まとめ
人間の側に立つキー坊と、反対の意見を述べる立場のシラー。2人の役割は明確で、キー坊の成長を促し人間の可能性をシラーに認めさせるのがのび太たちの役割です。
ここに、長老ジィと呼ばれるトトロを模したようなキャラと、緑の巨人という巨神兵のような存在が登場し、物語は混乱をきたします。長老ジィの役割はキー坊が担えばよかったし、緑の巨人はシラー達が担えば良い役割でした。
これまでの劇場版でも常に登場した異世界の友人として、森の民が登場しますが、ロップル(宇宙開拓史)やルカ(月面探査記)などとは違い、活躍の機会を与えられていません。ジャイアンそっくりの森の民として登場するモヤも見せ場なしです。せっかく登場したのに残念ですね。
最も気の毒な存在となったのがリーレです。自分の役割に悩んでいる緑の星の若き女王です。若くして両親を亡くし女王とならざるを得なかったのでしょうが、ジャンヌ(ロボット王国)のように、両親とのストーリーが描かれていないので、感情移入も出来ません。リーレがのび太やキー坊との交流を通じて、人間の可能性を信じ、シラーを改心させるべきでしたが、長老ジィに役割を奪われてしまいます。
これでリーレはやることがなくなり、ただのやさぐれたお姫様になってしまいました。
本来軸となるストーリーに、必要以上にキャラを増やしたことによりまとまりが無くなっているため、理解が難しいという意見が多く聞かれるのだと思います。残念なことですが、本来伝えようとするメッセージは、地球の緑を大事にしようという、我々にとってとても大事で、真剣に考えなければならない問題です。
自然保護を訴えるというテーマでジブリと相通じるものはあります。アニメという形で未来を担うこどもにそれを伝えようとされた藤子不二雄先生の『さよならキー坊』に込められた想いをシンプルに受け取りたいですね。
ヌー