大山俊輔
ここ数年GAFA(ガーファ)という言葉が私達のような中小企業にとっても大きな存在になってきました。
特に2010年代以降、スマホが普及して今まではgmailやicloudのメールなんて使うことがなかったであろううちのお客さま気づけばみんなGAFAのお世話になる時代です。それだけ、この10年はサイバー空間でGAFAが躍進し、日本が負けまくったとも言えるのでしょう。
さて、ここまでプラットフォーマーの力が強大化すると、私達中小企業も他人事ではありません。こうしたGAFAの力を使う側に回るのか、はたまた、GAFAを儲けさせるだけのために働くのか、選択を迫られます。
英会話スクール業界は集客において、検索やディスプレイ広告などでGoogle、FacebookはじめGAFAのお世話になっている会社が多いことでしょう。当社も、年々Googleの広告入札単価の上昇や、年々ローンチされる新プロダクトに振り回されながら事業をやってます。
そこで、同じように集客をインターネットで行う中小企業やベンチャー企業の広告担当の皆さんと、どうすればGAFA依存を減らせるか、について考えていければと思って私も思ってることをまとめてみました。
目次
そもそもGAFAにお世話になるわけ
ケイコとマナブ全盛期
今でも覚えてますが、私達が英会話の事業をローンチした2006年。
この頃は、まだ検索を通じてお店探しをするということはそこまでアタリマエのことではありませんでした。
コンビニに行けば、今より遥かに多くの雑誌が置かれてました。
英会話はじめ習い事関係では、「ケイコとマナブ」が当たり前のように置かれていたものです(今は廃刊)。
私も会社を創業する時、英会話スクール業界に詳しい仲間に、
「ケイコとマナブに出れば電話がじゃんじゃん鳴って忙しくなるよ!」
ということで、電話回線を2つ引いたのを覚えてます。
もちろん、そんなことはなく無駄になりました(笑)。
それもそのはず。
2006年といえば、まだガラケーの時代ですが徐々に人々の情報収集はパソコンや携帯検索という今のスタイルにシフトが始まっていたのです。
スマホの登場と顧客の行動変化
そして、2010年代に入って一気にスマホが普及しました。
今までメールはキャリアのメールだけ。そんな人達が多数派でした。
まして、gmailなんて、IT系の人とちょっと感度の高い人しか使ってなかったものが気づけば当たり前に。
スマホという端末の登場により、世界でも独自の発展を遂げてきた日本のガラケー文化はあっという間に駆逐されてしまいました。
また、この頃にはSNSではMixiが低迷してFacebookが登場。
買い物もずっと楽天だった人がAmazonプライムの便利さに気づく。
今までITとは無縁だった一般の人達は気づかないうちに、こうした人達の生活にGAFAが浸透していきます。
そして、気づけばお店を探すのはGoogle検索で。
お店に行くときはGoogle Mapで。
とGAFA依存が進みます。
そして、こうしたユーザーにとっての無料のサービスの裏にはGAFAに貢ぐ企業の広告費があります。
かつては、テレビCMや新聞・電車広告は大企業、チラシは中小企業といった区分けがありましたが、検索のサイバー空間での空中戦は、大企業も中小企業もありません。高い入札単価を出した会社をGoogleは優遇しますから。
結局は可処分時間をみんな取り合っている
この10年の構図をみると、GAFAが行ったこと。
それは、私達の可処分時間の中にうまく浸透したことです。
ユーザーがスマホを通じて情報収集し、SNSで楽しみ、そして、ゲームをすればするほどここが広告の場として価値を持ってきます。
結果、アメリカ企業が私達日本人の可処分時間の多くを握ることになりました。
となると、広告主も釣り堀が変わってしまったことを認識して、GAFAの釣り堀に移動していきますます値段は高騰します。
こうなると、中小企業は大企業と同じ土俵で戦わざるを得ません。
しかも、Googleはどんどん新しいプロダクトをアップデートして(これは良かれなんでしょうが)、せっかく使い慣れた運用体制を定期的にひっくり返してきます。うちも今年は大変でした。
でも、中小企業や個人は大企業じゃないですからそんなことをいつまでも続けるわけにもいかないですよね。これがGAFAとの今後の中小企業の使い方です。
ユーザーに徹して、その恩恵を受けることに徹する
このGAFA時代、広告主としての企業はGAFAに払うのみでした。
ですが、GAFAがなぜこれだけの力を持ちえたか。
それは、徹底的にユーザーのことを考えて便利にしていったからです。
つまり自分がユーザー側である限り、GAFAはとても優しく、頼もしい存在なのです。
ということを踏まえるとこのあたりがGAFA時代の中小企業の付き合い方なのかなと思います。
1:ユーザーとして利益を受けまくる
まずは、企業ではありますがユーザーとして徹底的に利益を受ける側に回ることです。
中小企業でしたら、一定の規模になるまでは、gmailだって無料ですし、Google DriveもGoogleカレンダーも全部無料です。
社員が10名になるくらいまでの会社で広告などが必要ない商売であればGAFAはユーザーとして優しい存在でもあるのです。
2:ファーストコール(指名)を獲得する=ブランディング
これは、うちもまだできてないからGAFAに貢いでいますが、今後の中小企業は必須のテーマだと思います。
Googleにせよ、FacebookやInstagram広告にせよ高いお金を払う一番の理由は知名度です。
英会話でしたら本当は「b わたしの英会話」というキーワードなら広告を出さなくても、自然検索でお客さまを獲得できるはずですがその数が少ないからこそ、「英会話スクール」などのキーワードで多くの会社が出稿します。
であれば、中小企業がすべきこと。
それは、指名を得るための努力をすることに幾分かのリソースを割くことです。
それはすなわち、AIDMAでいうところの「A」(attention)へのリーチを増やすことにもなるのですが、それが難しいからみんな商材ワードで入札しあうことになっちゃいます。英会話スクール業界ですと、大手ならイーオンさんのように石原さとみさんを出したり、ECCさんのようにビートたけしのCMができますが、中小企業は難しいです。となると、他のやり方が必要です。
ここは私も答えを書きたいところですが、書けません。模索中です。
3:GAFAが提供できないものを提供する
私が今市場を見ていてやっぱりいちばんGAFAにとうまく付き合っている人。
それは、YouTuberだと思います。
GoogleはYouTubeという場を作り出し、サーバにどんどん投資して他のサービスとの差別化をすることはできても、コンテンツそのものを作ることはできません。だからこそ、GoogleはYouTubeのクリエイターに対して破格の条件で広告費を払ってくれるわけです。
今後のサービスは常にGAFAの視点でどのように役立つコンテンツを作るか。
つまり、それは巡り巡ってユーザーに役立つのか。
そして、GAFAのプラットフォームを使いながら、ラットレースから逃れるためのファーストコールポジションを獲得することに腐心するか。
それにかかっている気がします。
にしても、プラットフォーマーの中に日本企業が一社もないのが寂しすぎますね。
OSではトロンを潰して、日本企業だったLine(旧ライブドア)を潰して出る杭を打たなければ1つか2つくらいは日本からも世界的サービスがでていたかもしれません。
ハビットマンShun