大山俊輔です。先日社内勉強会で少し話したことから面白いテーマなのでこちらでも。
自分は実は英語と英会話は全く異なるテーマの学習と思っている。実際、bで使っている学習メソッドもこの考え方に基づいてカリキュラムから実際のレッスンまでフローの組み立てをしてきた。
その理論的背景の中で面白い事実をちょっとだけ紹介。
目次
英語学習時と英会話(熟練)は違う脳を使う?
まず、この脳の写真を見てみると面白い。
この写真は母国語(このブログを読む人だと日本語)を話している時のfMRIの写真。
場所的には大脳基底核あたりが元気に活動しているっぽい。
そして、次の写真は不慣れな外国語を話しているとき。
これを見ているとわかるが、主に前頭前野が元気に活動している。
これは、慣れないことを行うため、一生懸命考えているからだと思われる。
普通の英会話の訓練を受けてない人が頑張って英語を話している時はこのようになっている。
次に面白いのがfMRIをウソ発見器的な使い方をしてみたとき。
やっぱり、前頭前野が元気に動いている。
前頭前野はすなわち人間のみに与えられた考えるための脳。人間を人間たらしめる部分だ。
つまり、ウソをつくときは一生懸命考えてるってことだ。
確かに動物は基本、刺激に対しての反応であるからウソはつかない。
うん、MRIでウソ発見器作れるかも。
あ、ただ、ひとつ例外がある。
もし、このとき前頭前野が活動しないでウソつく人がいるとするとその時はダメだ。
ただ、そんな人がいるとしたら、相当のワルだ(笑)。
母国語では習慣系の脳を使っている?
恐らく、ここでヒントになるのはこういうことだ。
どうすれば、母国語で話してるときと同じ脳を英会話(外国語会話)でも使えるようになるか
ヒントになるのは小脳と大脳基底核あたりだ。
どちらも、どちらかというと人類の脳の進化の歴史から見ていくと原始的な部分だ。
もう一回、このチャートをつけてみた。
これは、よく言われるポール・マクリーンの脳の階層図だ。
厳密にはいろいろと突っ込みどころがあるかもしれないが、脳を進化の過程に従って人間脳、哺乳類脳、爬虫類脳に分類する。その中で、カーネマンなど行動経済学者の使うシステム1はこの哺乳類脳と爬虫類脳、そして、システム2は人間脳が該当する。
脳には実に数多くの神経細胞(ニューロン)がある。諸説あるけれども、平均で1200〜1400億個あるといわれている。これらが様々な学習や体験を通じて組み合わさって、記憶を構築していくわけだけど意外な事実が一つあって実は一番神経細胞の多い場所は小脳。
人間の脳は進化の歴史を色濃く反映したもので、脳の内部に入り込めば入り込むほど動物時代の名残を残している。
人間にもできてもっとも原始的な動物(爬虫類や魚類)も行っていることといえば、身体のコントロールや呼吸などだ。赤ちゃんから子供になるとき真っ先に歩けるようになるのもこうした原始的な脳から発達するから。
実に人間脳とも言われる前頭前野が本格的に発達するのは大学生になる頃。
しかし、我々は普通にそこそこのレベルの日常会話を母国語で子供でもできる。
どちらかといえば、我々の動物時代の部分を使いながら。
英会話はスポーツ、音楽や九九と一緒?
そう考えると、受験勉強は頭の良さを競うというよりは、どちらかというと単純な暗記の強いやつが勝つことになる。
実際、子供の頃に学ぶ掛け算の九九、スポーツ(特に球技)、キーボード入力、楽器、漢字など皆反復を通じた学習だ。
ダニエル・カーネマンの言い方としてみればシステム1を使う学習だ。
こう考えると英会話とはどちらかというと学問として見るよりは、上記のような反復学習と親和性の強い学習ーつまりスポーツ、キーボード入力、楽器学習ーと似ていると言えるだろう。
残念なのは英会話=学生時代の英語の学習と連鎖させてしまうと、学校で同じように学んだ物理、数学、社会といった科目と同じアプローチで見てしまう結果、ついつい、小難しくアカデミックに考えてしまいがちなことだ。
しかし、こうして脳のどの部分がアクティブに動いているかという視点で検証すると明らかに英会話は反復学習を通じて獲得するものであることがわかるだろう。つまり、正しいフォームで反復し継続した人が英会話を上手になるわけだ。