大山俊輔
最近、関西に立ち寄る機会という帰る機会が多いです。
コロナウィルスに気をつけながら、新幹線に乗って関西へ。
年末年始は私はほぼ帰省しませんので、今回が2020年初めての関西。
とはいえ、特に大きな予定はなかったので父と事業の話を相談したりしながら、私の得意な手料理を振る舞ったりとのんびりとした関西滞在でした。
そこで、久しぶりに無性にJIBのバッグが欲しい。
そう思って、行ってきました。芦屋のJIBショップ。
このかばんをパット見てすぐわかる方。
恐らく8割以上は関西、特に阪神エリアに関係のある方ではないでしょうか?
実はこのJIBの生存戦略。
まさに、中小企業を経営している自分にはその凄さを再認識せざるをえません。
ということで、JIBについて少しまとめてみました。
目次
JIBとは?
この質問は阪神間エリアの方には愚問です。
というのは、友達10人いれば誰かしら持っているブランドだからです。
それくらい、阪神エリアで愛されているブランドJIB。
東京で暮らすようになって20年、こちらでJIBのバッグを持っている人を見ることはほとんどありません。
まずは、JIBを知らない阪神圏外の人たちは是非JIBさんのインスタページをチェックしてみてください。
好きな人はピタッとハマる素敵なデザインですよね。
JIBの何がすごい?
さて、私は別にアパレルやファッション評論家じゃないのでJIBの素材がセイルクロスだってことだったり諸々はこのエントリで紹介するつもりはありません。
なにせ、私がJIBを使うようになったのは社会人になってから。
大学時代、オタクで引きこもっていた私には、JIBはリア充の象徴。当時の私には、JIBは敵性グッズだったのです(笑)。
ですが、起業してドレスコードがない今となると本当に助かります。
軽いし、丈夫だし、そしてカラフルで目立つけどコテコテじゃない。ちょっと大阪に悪いけど、阪神間とはいえ、どちらかと言うと西宮から芦屋エリアを象徴するイメージをすべて体現したブランドです。そして、関東で持ってると目立ちます。
おっと、何がすごいって?
特に企業調査などせず、ユーザー視点で見てすごいと思ったことは下記のとおりです。
創業43年まだ続いていて人気がある
まず、すごいことその1。
それは創業が1978年で今も存続してしかも人気があるってことです。
私も日曜日に芦屋店に行きましたが小さい店内はお客さんがひっきりなしに出入りしていました。これってすごいことですよ。
よく言われる話ですが企業の平均寿命は20年。
10年間の生存率は6%ですから、生き延びた企業の平均寿命です。
まず、残ってるだけでもすごいのに人気の乱高下がないということは素晴らしいことです。
ちなみに、JIBの今のかばんが出来上がったきっかけはなんと泥棒さん!
マリンショップのお店を開業するまさに前日にお店に泥棒が入って残ったのはヨット模型用のセイルクロスとミシンだけ。全財産を失ってのスタートだったそうです。
ですが、人間万事塞翁が馬。
ここで残ったセイルクロスで作ったバッグが大当たり。
これが今のJIBブランドの原型だそうです。
世の中何があるかはわからないものですが、この泥棒さんはもし生きていたら創業ストーリーに加えたいものですね。
指名買いブランド
そして、次に思うこと。
それは「指名買い」、つまり、ファーストコールされるブランドであることです。
かばんに求められることはものを入れて運ぶときに使われること。
そして長持ちすることです。
その期待にこたえるのは当然ですが、「JIBのバッグが欲しい」という指名買いになるためにはなにか違いが必要です。
JIBのユーザーは多岐にわたります。
買い物に使う主婦から、おしゃれをしたい学生さん、そして、スポーツクラブの人まで。
まさに、機能性、ファッション、丈夫といった要素をすべて内包しているのがJIBの強みでしょう。
バランスある企業規模とイメージ
何よりも私がいいなと思うのは関西でしか基本買う機会がないブランドであること。
多くの地方ブランドは、地元で成功すると東京に進出します。
というよりは、地方で有名になれば山程デベロッパーや商社からお誘いがあることでしょう。
もちろん、それで大成功を収めるブランドもあるわけですが、JIBさんのポイントはオーナー企業としてブランドイメージを落とさず適度な規模で続けてこられたこと。
今でこそ、ベンチャーがもてはやされる時代です。
ベンチャーキャピタルから一気に調達して、一気にグロースをかけてエグジットし、また起業する。こうしたシリアルアントレプレナー的な生き方がかっこいい、という価値観がベンチャー界隈ではあります。
一方で、こうしたベンチャー的な発想ではなくちゃんとした中小企業として差別化し、ブランドを作っていけば1代で終わらない事業だってできるわけです。まさにJIBがそうです。
自分たちがどうやって生きていくかの価値基準に
私はベンチャーとして今の会社を創業して、エンジェル投資家とVCから何億も調達し全部使い果たして一回失敗しかけました。
今は中小企業的な立ち位置で事業をやっています。
こうした経緯から、ベンチャー的価値観、中小企業的価値観どちらも共感しますが、今の時代、ベンチャーという言葉がちょっと持て囃され過ぎな気もしなくはありません。
選ぶ業界によってはもっと中小企業的な戦略をちゃんと愚直に実行することこそが、お客さまや社員にもハッピーなことだってあるのです。
しかも今回始めて知りましたが、創業者の娘さんがうちの弟(1981年生まれ)の同級生ということが判明しました。一度、機会を見つけて創業者の杉原社長とお話してみたいものです。
大山俊輔
PS:バッグもばっちり自分の名前を入れていただきました。東京でちょっと目立ちながら大事に使わせていただきます。