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日本的フェティシズム~戦争における餓死と経済におけるGDP減少を招くやっかいな病

日本的フェティシズム

ハビットマン/大山俊輔

こんにちは。大山俊輔です。

さて、私子供の頃からちょっとしたトラウマになってしまったことがあるんです。

それは、先の大戦時の日米の戦死者の比較表なんです。
真珠湾にはじまり、ミッドウェー、ガダルカナル、サイパン、インパール、フィリピン、そして沖縄・・・・。

うちのじいさんも子供の頃、

「アメリカ兵は弱かった」

と言ってたものですが(筋トレマニアのじいさんでしたので個人的な意見かもしれません(笑))、物心がついたころから図鑑や本を読んで実際の戦いを見ていくと、ミッドウェー海戦以降、死者数が日本軍の方が圧倒的に多いんです。その弱かったアメリカはどうだったんだろう?じいさんの武勇伝は嘘だったのか?あるいは、局地的な個人的武勇伝だったのか?

これが疑問でした。

ですが、こうして歳を重ねてくると自分の社会人となった20代でもある1990年代後半から2020年までの20数年間の日本経済の軌跡をみていると実はほぼ同じストーリーを日米間の経済成長の差という形でトレースしています。

ではこの軍隊と経済における日米の差とは何だったのだろう?

今日は、このことについて書いてみました。

今現在(2020年3月23日)時点では、このコロナウィルスによる騒動は欧米で本格化し日本は比較的恵まれた環境で眺めていられます。正直、先進国の大都市で一応外で食事をしたり市民生活ができているのが日本だけになっているこの状況が不気味といえば不気味ではないでしょうか。

今後どうなるかは予断を許しませんが、このウィルスとの戦いは一定の罹患率に達すれば少しずつ小康化していきます。そして、ウィルスとの戦いから経済との戦いにステージが変わっていくことでしょう。この時日本が正しい経済政策を行えなければ、第二、第三のインパール、沖縄、そして広島・長崎に匹敵する大被害を国民経済に与えてしまう気がしてならないんです。

そうならないことを祈りながら書いてみました。

戦闘による死者よりも多かった餓死者

実際に個別の戦線での死傷者数を並べるともっとぞっとしますが、第二次大戦全体としてみた時の日米の戦死者数です。

戦死者数 市民の死者数 合計
日本 230万人 80万人 310万人
アメリカ 29万人 29万人

この数値の中には日本は対ソ連、中国、イギリス、オランダの数値も含みますが、その多くは対米となる太平洋戦線の数値です。また、アメリカは対ドイツの数値も含んでの数値となります(更にアジア諸国で残念な事に多くの市民が犠牲になったことをここで付け加えておきます)。

これだけ見ても、明らかに日本の戦死者数がアメリカのそれに比べて圧倒的に多いことがわかります。

餓死者が全戦死者の大多数を占める戦争

しかも、驚くべきことにこの中でも日本にとって不名誉かつ亡くなられた方にとって無念この上ないのは実際の戦闘による死者より餓死・戦病死者数が圧倒的に多かったことです。

餓島とも言われたガダルカナルはじめソロモン諸島での戦没者12万人のうち実に10万人弱が餓死及び戦病死による戦死であったと言われています。実際、研究により多少の数値は変わりますが、栄養失調による餓死、また、栄養失調に伴う体力消耗の結果マラリアなどに罹患して亡くなられた方も含めた方は140万人。つまり、230万人の戦死者のうち61%が餓死者ないしは戦病死であったと言われています。

これだけでも唖然としてしまいますが、同じような戦うことなく輸送中に米軍の潜水艦にただひたすら沈められて10万人以上が亡くなられたバシー海峡の悲劇についてはこちらのエントリをご参照ください。

ウィルスよりさらに怖い – バシー海峡、消費増税、コロナウィルスに共通する日本病

私はここで戦争を全面的に否定したりセンチメンタリズムに浸るつもりはありません。

しかし、国家間の利害が一致せず戦うことがあるのは当時の国際情勢ではやむを得ないところもあったことも理解しますが、なぜ、敵軍と戦うこともなくかくも多くの一般兵が異国の地で餓死したり、病死する状態を続けてしまったのか。この「なぜ?」と呆然としてしまうような無残な結果こそが、私の幼少期の疑問であると同時にやるせない気分は長らく私の中に蓄積されてきました。

ですが、まさか経済的に同じ不戦敗を私が大学を卒業した1990年代後半から今に至るまで続けることになるとは流石に幼少期の私も思うことはありませんでした。

1991年~2020年までの経済戦争による圧倒的敗北と自殺者の急増

日本は先の大戦と同じ過ち、すなわち「どれだけ兵士や国民が頑張って永久に負け続ける状態」ををバブル崩壊後繰り返してきました。

1997年の消費増税=日本の経済敗戦のはじまりと2014年・2019年の消費増税=日本の経済敗戦の永続化

1991年のバブル崩壊が戦後日本の奇跡の終焉とすると、その後の30年はひたすら坂道を転げ落ちるが如く我が国のプレゼンスはさがりました。見てみてください。これがその実績です。

ずは、各国のこの20年の名目GDP成長率の比較。
日本はダントツの世界最下位です。

世界各国の名目GDP成長率
出展:https://honkawa2.sakura.ne.jp/4500.html

この結果どうなったでしょう。
このグラフを見てみてください。

名目GDPに占める日本の割合

かつては、世界シェアで18%近くあったGDPはいまや6%。
さらには一人あたりGDPもかつては世界2位でしたが今では20位近くまで下落しました。

1997年の橋本内閣による消費増税により日本のデフレははじまりました。
そして、2014年・2019年の安倍内閣による2度に渡る消費増税により日本のデフレの永続化が決まりました。

その結果がこれです。

まさに、ミッドウェー後の日本の戦いは中国戦線での勝利(1号作戦)などを除くとつるべ落としの如くといったところでしたが、経済でも同じことが1991年以降、特に1997年以降今に至るまでずーっと続いているのです。こうして、日本の経済敗戦永続化がほぼ確定してしまいました。しかし、この敗戦は私達の努力不足が原因ではありません。

常に間違った作戦を続けてしまう構造にあるのです。

勝利より優先してしまうもの – 人間関係・フェティシズム

さて、なぜこのように日本の戦いでは突如急落するようなことが戦争でも経済でも多発するのでしょうか。
それは、ひとえに現場を無視した作戦をたててしまうからでしょう。

このあたりについての考察はこちらのエントリをご参照ください。
ウィルスよりさらに怖い – バシー海峡、消費増税、コロナウィルスに共通する日本病

学生時代のゲームが続く大組織

基本的に日本の大組織は企業であろうと霞が関の官庁であろうと永田町の政治家であろうと同じゲームで成り立っています。
それは、学生時代のゲームの延長線上で成立した人間関係です。

同じ高校、大学、学部から入社、入庁する仕組み。
そして、その中で出来上がる先輩・後輩との強固な関係。

本来、企業や官庁などの組織はその組織本来の存在目的があります。

最も分かりやすいのは軍隊でしょう。
基本、戦争になったら勝つということです。それも最小限の犠牲で。

組織本来の存在目的に基づき運営がなされる組織をゲゼルシャフト、すなわち、機能組織と呼びます。
ところが、こうした縦軸に基づく人間関係が優先されると組織は共同体化します。これをゲマインシャフトと呼びます。

日本的組織は創業時は機能組織(ゲゼルシャフト)ですが、創業者が他界したり世代交代が進むにつれてその組織の創業理念や存在目的よりも共同体化(ゲマインシャフト化)による組織内の人間関係が優先されるようになります。

このように書くと、人間関係も大事ではないかという声がかかりそうですが組織に明確な目的が与えられている軍隊や官庁、そして、企業ではこのぬるま湯の人間関係は組織を道連れにするリスクが非常に高くなります。実際、多くの餓死者を出して白骨街道とも呼ばれる退却戦を演じたインパール作戦(1944年3月~7月)では、当初よりその作戦の無謀さは指摘されていましたが、この、ビルマ方面軍司令官の川辺正三の一言で実行に移されました。

「ここは一つ牟田口の顔を立ててやってくれんか」

この一言で歴史上最も無謀な作戦が実行され10万人の兵のうち7万人が死亡もしくは傷病という無残な結果を残しました。

残念ながら、こうした大組織で出世する上層部の人の多くは受験エリートではありますが、人間とし肝心なものが欠けている人が多いです。そのため、組織内の上下関係は非常に重視するものの、現場の犠牲になる兵士たちには非常に冷酷な判断を取ることができます。この作戦は、失敗をいつ認めるかを切り出せず7月までずるずると続いてこれだけの犠牲を出してしまいました。

消費増税=令和のインパール作戦

同じことは、今回の消費税でも言えますよね。
どう考えても、GDPを押し下げて税収すら落としてしまう全く意味のない10%への消費増税は令和のインパール作戦とも言えるでしょう。

この時も、実はインパールと同じ背景があり、その理由だけでこの無謀な意思決定はなされました。

「麻生さんの顔を立ててやってくれんか」

これだけの理由です。
これで、GDPにして年率換算で7.1%、金額で見れば9兆円近いロスをもたらした大失敗をなしてしまったのです。

これで仕事を廃業した方、職を失った方達の無念の心を誰が晴らすのでしょう?

森を見ず木にこだわる日本的フェティシズム~プライマリーバランス

そして、こうした意思決定において重要な位置づけを占めるのが日本的フェティシズムです。一度組織の中で「これだ」という結論が出来上がるとあとはそれが正義であってそれ以外のあらゆるデータを都合よく解釈するような組織文化があります。

最も最近で分かりやすいのは消費税増税でしょう。

恐らく、冷静な目で見ればあれだけのエリートたちです。もう既に増税が意味がないことは理解しているでしょう。

ですが、先輩が作り上げた消費増税という偶像が一度組織で出来上がるとこれを否定することはできません。
まさに唯一神です(笑)

ひょっとするとオウム事件でも東大などのエリートが多かったのは日本的受験エリートがこうした偶像神を一度信じてしまうと最後まで止められないことの証左なのかもしれません。
そういうと失礼なので、フェティシズムと呼ばせてもらいました。

フェチとはすなわち下着などのような本来の目的(体を守るもの)に興奮してしまう性癖のようなもの。
でも、それは下着の仕事ではありません(笑)。

同じように増税というのも本来は景気のオーバーシューティング(加熱)を防ぐことが目的であるはずなのに、今では自己目的化してます。
増税神様です(笑)

財務省の心ある官僚の中にこの呪縛から抜けて真に日本を想う人が出てくることを祈る限りです。

 

兵士・国民には冷淡、でも、仲間のミスは全力でかばう

インパール作戦はどのようにして終焉したのでしょうか?

牟田口も先程の「ここは一つ牟田口の顔を立ててやってくれんか」の河辺正三も当然ながら失敗には気づいていたことでしょう。
でも、今更間違っていたなどといえません。

その結果どうなるか。
ひたすら戦力を逐次投入します。

彼らは組織内の先輩後輩の関係は重視しますが死んでいく現場の兵隊には同じ日本人であろうと非常に冷酷です。
こうして、戦闘が維持できないほどまでに現場が損耗(兵力10万のうち7万が壊滅)するまで、撤退を切り出さずにこの誤った作戦は継続されました。

何かと似てませんか?
これって?

そう、2019年10月~12月期のGDPが年率換算でマイナス7.1%という衝撃の数値を出した時の政府見解です。

組織本来の目的よりも人間関係(しかも身内の)を優先すると現実を見れなくなる典型です。
ただ、残念なことにその被害を直撃で受けるのは昔も今も一般国民であり中小企業なのです。

コロナショックは日本的エートスを抜け出せるかの試金石

さて、ちょっと暗いお話でしたが明るい光明もあります。

以前、紹介しましたが日本の変化は漸次的ではなくジグザグ型と言われます。
ジグザグ的な変化とは、行き着くところまで落ちぶれてそこからレジームチェンジが起こって一気に爆発的な成功を遂げる。

明治維新から大正初期、そして、戦後の復興などはその好例です。
ですが、このレジームチェンジが起きるために一つ共通のことがあるのです。

それは現場崩壊という犠牲です。

昔でしたら、先程のインパールはじめクソミソ作戦に付き合って亡くなられた310万人の犠牲です。
平成・令和については、この惨めな経済失政によって多くの人々が失った所得であり、そして、生まれてくるもしれなかった命。
そして、中にはその途中経済苦で絶たれた多くの命。これが犠牲です。

ざっくばらんに計算してもこの20年デフレ経済失政における経済苦による自殺者数は10万名ではおさまりません。
すなわち、日本の国運を賭して戦われた日露戦争より遥かに多くの命を平成日本は失っているのです。

日本とジグザグ型変化 日本人とジグザグ型進化(マクロデザインVSミクロ最適化)

現場崩壊がレジームチェンジの狼煙

江戸から明治に至るまでも天明・天保の大飢饉、そして、大塩平八郎の乱による大坂の消失。
先程のように第二次大戦では310万人の命。

どれだけ上が甘えても、ここまでの犠牲が出てくると真面目で優秀でおとなしい一般日本人の中から立ち上がる人が出てきます。
ですが、この忍耐強い我が国民はギリギリまで頑張ってしまいます。

ですが、今回のコロナは相手が悪すぎました。
そう。このコロナショックは急速に世界各国の経済活動を縮小させています。

アメリカで四半期とはいえマイナス24%・・・・。
同じくユーロ圏でも・・・・。

日本はこの前に消費増税ショックで既にマイナス7.1%です。
仮にコロナの対応がうまく行ったとしても、ここまで内需産業を消費税でずたずたにした状態でダメージがアメリカより少ないとは想像しにくいですね。

そして、私が想定するシナリオはこれ。
つまり、経済政策でふたたびリーマンショックのときと同じく世界から取り残されるというシナリオです。

玉川区役所オブ・ザ・デッドとコロナウィルス 日本はコロナとの戦いを『玉川区役所 OF THE DEAD』的解決を目指すが、経済との戦いで一人負けする予感・・・・

しかし、この大ショックは日本経済と日本国民に癒えることのない大きな傷跡を残しますが先程の日本的ジグザク進化が起きるのを加速する可能性が高いのではないでしょうか。

私の周りで一生懸命生きている人、日々の仕事を頑張ってる人、こうした人は既に霞が関や永田町レジームを見放しています。
同じように今まで従順に言うことを聞いてきた一般人も愛想をつかすスピードは早まるのではないでしょうか。

その時日本がひょっとするとピボットするチャンスがやってくるのかもしれません。
生きているうちに大恐慌を見れるとは思いませんでしたが、せっかくですので生きているうちに日本の大復活を見てみたいと思います。

それでは!!

大山俊輔