大山俊輔ブログ ー 脳科学による習慣ハック・歴史・経済のサイト

ウィルスよりさらに怖い – バシー海峡、消費増税、コロナウィルスに共通する日本病

ハビットマン

こんにちは。習慣デザイナー・ハビットマンShun、もとい、大山俊輔です。

さて、コロナ騒動が本格化してきました。
初動でミスすると、こうやって国全体に悪影響がでる。

いつもの日本の負けパターンです。

念の為、当社では早めにコロナ対策を進めてきました。
万が一、移動に制限が出たときにはオンラインレッスンに移行、あるいは、リモートワークとなった場合の体制が整ったところです。
参考 2020/02/19更新 – bのスクールにおけるコロナウィルス等感染症対策につきましてサイト名

とはいえ、後で「過剰反応だったね」と笑って終わってくれるといいのにな。
そう思っています。

さて、前回のエントリからコロナ騒動も時間が経過しましたが、いつもの日本の失敗法則が発動しています。そして、コロナであたふたしてるときにこんなことが・・・。

いやー。ひどいです。
内需総崩れです。

これから社長さんで首くくる人が増えるかと思うと同じ仲間として心が痛みます。多分、今回のコロナで亡くなる方より2月以降に首くくって死ぬ社長さんの方が数多いかもしれません。私はそうならないように、ビビりながらがんばります。

さて、このコロナ騒動。ここまでコロナが蔓延してしまうとなりふり構わず対処するしかありません。誰がやってもこうだった。やれることはやったんだ。こんな反論をしたい人もいることでしょう。もちろん、その気持も十分にわかります。特に現場で対処してる人はそうするしかありません。

ですが、このコロナ騒動では、日本が歴史的に犯してきた失敗法則をきれいにトレースしています。あえて、この病気をここでは「日本病」と呼ぶことにしましょう。

コロナウィルスには申し訳ないですが、この日本病。

コロナより遥かに恐ろしく、多くの人々、特に日本の「Theえすたぶりっしゅめんと」と呼ばれるお受験エリートに代表される人々の心を蝕んできました。そして、あやまった判断の結果、現場に多くの犠牲者と悲劇を生み出してきた病気です。日本病での直接・間接の死者数や機会損失(生まれるべきはずなのに生まれなかった生命)は昭和の大戦期には数百万人、そして、平成大停滞を通じて数十万人の犠牲者を生み出しています。

このエントリは日本病の代表的な特徴とその象徴的なイベントとして、大東亜戦争(太平洋戦争)における日本病のクライマックスとも言えるバシー海峡の悲劇、そして、平成〜令和にかけては消費増税とコロナウィルスの対応に見られる共通点を話してみたいと思います。

コロナウィルス騒動はいずれ一定の被害を出しながら収束していくことでしょう。ですが、私達日本人は歴史的にこの「日本病」ウィルスに羅漢しやすい傾向にあります。羅漢率が高いのは、霞が関、永田町、大手町や丸の内に代表される大企業。そして、残念ながら蔓延が収束する気配がまったく見えません(笑)。

この日本病を克服しないことには、更に経済は悪化し、そして、コロナ騒動では世界に醜態を晒して侮られることなります。

経済の大停滞とコロナ騒動をきっかけに、日本人が日本病を克服し、再び世界に誇れる日本国にするためには私達一般人が歴史を学び、同じ過ちを繰り返さない必要があるのではないでしょうか。

バシー海峡の悲劇とは

戦争とは戦争目的を達成すること

戦争といえば、人によっては捉え方がまったく変わるものです。ですので、ここではイデオロギーは抜きで読んでください。

戦いの中での武勇伝に心を躍らせる人もいます。
一方で、戦争の悲劇からもう戦争は懲り懲りだ、という風に思う人もいることでしょう。

どちらも気持ちはわかるのですが、指導者なのであればまず大事なことがあります。

それは、なるべく戦争は避けて外交的に解決を図ること。
そしていざ、決裂して戦争になるのであれば、犠牲を最小限にして必ず勝つ、いや、厳密には戦争目的を達成する。そして、悪くても負けにはならない。

これが鉄則です。

つまり、戦争を最大限回避しつつ、止むに止まれぬ状況において、戦争目的を明確に設定して落としどころも考えた上で、戦争に入ることです。

バシー海峡の悲劇は日本敗戦の根本原因

このエントリでは過去の日本病の代表的事例としてバシー海峡の悲劇をピックアップさせていただきます。山本七平著『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』の中では、敗因の1つとして、

バアーシー海峡の損害と、戦意喪失

と、あえて、このバシー海峡の事件を敗因の一つとして扱っています。
日本人の多くにとって馴染みのないバシー海峡。

では、バシー海峡では何が起きたのでしょう。

バシー海峡で起きたこと

バシー海峡

バシー海峡とは台湾とフィリピンをつなぐ海峡です。

先の大東亜戦争(太平洋戦争)おいて、我が国はアメリカと戦争になりました。初期の華々しい戦果から数年、初期に獲得した拠点は次々に奪還され絶対防衛圏を確保するために、フィリピン戦線に援軍を送る必要がありました。

当然輸送には船が必要となりますが主力艦隊がほぼ壊滅した中、民間から徴収した船舶まで動員して兵員をフィリピンに送りました。ですが、制海権・制空権ともにアメリカに握られてしまった状態での兵員輸送は自殺行為です。

ですが、驚くべきことに我が国は兵員(ほとんどは徴収された一般国民)を輸送して、少なくとも10万、一説では26万とも言われる方が海の藻屑と消えました。

ここで、山本七平の『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』の中で実際にこの作戦に従事した小松真一という方の言葉を引用します。

一体、何がゆえに、制海権のない海に、兵員を満載したボロ船が進んでいくのか。それは心理的に見れば、恐怖にけがわからなくなったヒステリー女が、確実に迫り来るわけのわからぬ気味悪い対象に、手あたり次第に無我夢中で何かを投げつけ、それをたった一つの「対抗手段=逃げ道」と考えているに等しかったであろう。だが、この断末魔の大本営が、無我夢中で投げつけているものは、 ものでなく人間であった。

山本七平『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』

米軍と戦闘中のフィリピンに援軍を送ると称して数十万人の人間を米軍の潜水艦が待ち構える海峡に送り続けてただ、ひたすら撃沈された出来事。

ここでは米軍との具体的な戦闘はほぼありません。
なぜなら輸送船で、制空権も取られてしまいほぼ護衛無しでの輸送だったからです。

1回の輸送に3000名、ときには、5000名といった日本人がすし詰めで乗せられる。今回のダイヤモンド・プリンセス号とは全くレベルが違います。寝る場所もないような場所にです。

そして、米軍に見つかり魚雷が打ち込まれればあっという間に何千人という人が死んでしまいました。

これを日本はいつまで繰り返したのでしょうか。
それは、送る船がなくなるまで、ただ黙々と、お役所仕事的に続けてしまいました。

広島の原爆投下に匹敵する数の犠牲を出したこの出来事を知る人はほぼんど生き残っていません。また、具体的な戦闘ではなかったため、戦史としてもあまり話題にならないのです。

ですが、この戦いこそが1997年、2014年、2019年と続いた消費増税と経済大災害による数十万人の自殺者。そして今回のコロナ騒動にも脈々と受け継がれている日本病を警告していたように私には思えてならないのです。

バシー海峡の悲劇とアウシュビッツの悲劇の違い

ここで、同著の中でも山本七平氏はこのように表現しています。

バシー海峡とはつまり、アウシュヴィッツのガス室よりはるかに高能率の溺殺型大量殺人機構の創出であった。

こう書いてしまうとヒステリックに反応してしまいたくもなりますが、彼はアウシュビッツとバシー海峡の違いはそこに「意図」があるかないかであると評しています。

アウシュビッツは人類が二度と繰り返してはならない狂気の1つです。
ですが、それを行ったナチスドイツには明確に何を目的とするのか=ユダヤ人を抹殺するという「意図」がありました。そして、その「意図」に基づいた「方法論」がありそして、それを実行する「組織」がありました。

確かにその意図ははっきり言って狂気であり悪魔の発案だったかもしれません。その運用を行った組織は感情を持たない機械に等しかったのかもしれません(このあたりは、ハンナ・アーレント著の『エルサレムのアイヒマン: 悪の陳腐さについての報告』を読めば、人間という生き物の弱さとその陳腐さが生み出す恐ろしさがわかります)。


 

ですが、バシー海峡の悲劇にはこうしたものが一切存在しない。
つまり、常に起きた状況に場当たり的に反応しているだけでした。

何の意図があったのかではなく、米軍がフィリピンに反撃でやってきたからという理由で触発されてヒステリカルに反応して出たとこ勝負を繰り返す

そこには「意図」が存在しないから、それに応ずる「組織」もない。
そして、次々に新しい現象が現れれば、それに慌てて対処を繰り返す。

そして、成果が上がらず犠牲を増やすとどうなるのでしょうか
これは、「同じことを繰り返す」という言葉で説明ができます。

そして極限まで来て自滅するとき、

「やるだけのことはやった、思い残すことはない」

というやった感アピールで片付けられます。そして、誰も責任をとりません。

山本七平はこのように締めくくっています。

太平洋戦争自体が、バシー海峡的行き方、一方法を一方向へ拡大しつつ繰り返し、あらゆる犠牲を無視して極限まで来て自ら倒壊したその行き方そのままであった。  だがしかし、わずか三十年で、すべての人がこの名を忘れてしまった。なぜであろうか。おそらくそれは、今でも基本的には全く同じ行き方をつづけているため、この問題に触れることを、無意識に避けてきたからであろう。従ってバシー海峡の悲劇はまだ終っておらず、従って今それを克服しておかなければ、将来、別の形で噴出して来るであろう。

山本七平『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』

同じことが、消費増税やコロナ騒動で繰り返されていることが見えますよね。昭和末期に書かれた本著ですが現代日本にも脈々とこのDNAは受け継がれてきています。


度重なる消費増税、コロナ騒動に引き継がれるバシー海峡の悲劇

このバシー海峡の悲劇と同じ間違いを日本は犯しています。
その代表は1997年、2014年、そして2019年と繰り返された消費増税とそれに伴う経済的破壊の拡大。

ウォール・ストリート・ジャーナルのMike Bird記者はこのような論説を書いています。

日本語にタイトルを直すと、

「日本:芸術的なまでに同じ間違いを繰り返す国」

となるでしょう。
日本と戦ったアメリカならば「あーあ、また、あいつらやっちまってるなぁ。。。」という感じで見ているのではないでしょうか。

そして、今回のダイヤモンド・プリンセスに代表されるコロナウィルス騒動でも垣間見られた日本型大組織の問題点。

この共通点をいくつかご紹介してみたいと思います。

同調圧力と空気の支配

まず、1つ目の課題として同調圧力と空気の支配をあげました。

日本人は周囲の動きを見ながら自分の行動を決める傾向が強いです。その結果、企業は他社の動向を見て真似し合いますし、個人も常に周囲の反応を気にして自分の行動や発言を制限する傾向があります。

これは、何も官僚、政治家や大企業経営者にのみでなく一般国民の多くにも共通する傾向だと思います。

中でも、その中でも危険なのは「空気の支配」はないでしょうか。

なんだかわからないけど、気づかないうちに社内でこんな方針が決まってしまった。
大きな企業で働いていた人は誰しも経験があるのではないでしょうか。ですが、やってみたら大失敗・・・・。

でも、後で振り返ってみると実は多くの人が心のなかでは反対していた。でも、そのときはなんとなくその場の雰囲気で賛成してしまった。

こんなことが日本の大組織では多く起きてしまいます。
このことを先程も紹介した山本七平は著書『空気の研究』の中で紹介しています。


でも、1プロジェクトの失敗くらいならそれでも仕方ないと思えますが、果たして消費増税や今回のコロナ騒動で同じことを内閣、国会、そして、省庁内で行われていたとしたらどうでしょう・・・。

まずすぎますね。

特に、経済戦争、ウィルスとの戦争といった大きな目的のために資源を大量動員するときには、本来はその組織には明確な目的が与えられるべきです。ですが、同質的な空気に支配される組織では、勝敗よりも組織の人間関係や空気が優先される結果、相手の顔を立てること、そして、前例踏襲がはびこります。その結果、現場(国民や兵隊)が犠牲になります。

山本七平はこうした本来の組織の目的を無視して、うまく運営することだけに注力した日本型の組織を「自転する組織」と命名しています。

本来は、組織というのは目的があって、その組織の長には空気に振り回されず、長期的な戦略を遂行することが求められます。つまり、本来国家や軍隊、そして、企業といった組織とは「機能集団:ゲゼルシャフト」であるべきものが、人々が生活の根拠とする「共同体:ゲマインシャフト」化してしまうことから、本来の組織の目的(例:戦いに勝つ)ことよりも、組織の維持、そして、建前としてすべての人の命を守ることが空気となってしまいます。

もちろんそれができれば、良いのですが戦争やウィルスは相手あってのものです。ですので、ひたすらヒステリックに反応して、結果として、全滅してしまう。崩壊すると、ちょうど一家離散みたいなもので、二度と再編成できません。

これが日本型組織が空気に振り回されて勝てない原因なのかもしれません。

主体性の無さと場当たり的対応・戦力の逐次投入に責任の無所在

次に代表されるのは「場当たり的対応」と「戦力の逐次投入」です。
その裏返しにあるのは「主体性の無さ」ともいえるでしょう。

主体性のない組織では意思決定を空気に任せてしまうため、誰もが漠然とした判断に賛成します。そして、失敗したとしても責任を取りません。

先の大戦でも、しっかりとした戦争目的を遂行するために行ったと言うよりは、ダラダラと日中戦争で蒋介石に振り回され、そして、ABCD包囲網が気づいたらできちゃって、そのまま連合国との戦争に突入しました。おまけに、何故かその前に日英同盟を破棄して、全く体制の異なるナチスドイツと同盟してしまって将来の汚名をかぶるお膳立てまでしてしまう始末です。

戦争目的も結果として不明確でした。

ハワイに行ってアメリカと戦ったかと思えば、マレーでイギリスと戦って、そして、はたまたインドネシアでオランダとも戦って、ついでにオーストラリアまで行って・・・。作戦的にも戦力をこれだけ分散させて、自殺行為ですが運悪いことに日本の高い現場力は気合でそれを大戦果にしてしまいました。

大東亜会議

こうして、よく戦争目的がわからないまま、しばらく時間が経過して戦争が著しく不利になってから大東亜会議が開催されます。植民地解放を謳ったり内容としては良いこともありましたが時すでに遅し。

そのPR効果は限られていました。

やるなら、もっと戦争に入るずっと前からこの戦いはアジア開放なんだというアピールをインドやマレー半島やフィリピンなど欧米の植民地でやっておくべきだったでしょうね。せめて、イギリスとオランダ植民地の人々には大義をもっと大々的にアピールしてよかったかもしれません。

このことは、今回のコロナ騒動や消費増税における軽減税率騒動でも同じパターンが見受けられました。

現実を直視せず、妄想で判断する

今回の消費増税でも同じことがありましたね。

わずか2%の増税だし大して影響が出ない。そんな風に、お抱えの経済学者にこんなことを言わせていたことをこの場にもスクショで貼っておきます(笑)。もう、この人、慶応の教授なんてやってちゃだめでしょ。NewsPicksがPROピッカーにしてるのも意味不明です。福沢諭吉先生が泣いてますよ。

ですが、こうした人はあくまでもお仕事をくれる官庁をヨイショしてるだけの小物です。本当の問題は、官僚を使っていかなければいけないトップもこんな判断しちゃってます。

GDPがマイナスで「回復」っていうのは先の大戦で負けて撤退しているのを「転進」といってごまかしてたのと同じですね。当時も小学生たちはこうしたちょっとした大人の小賢しさに気づいて負けていることを悟っていたそうです。

現実を直視できなくなった組織は、必ず敗北します。

いやはや、アベノミクスがスタートした2013年だけは教科書どおり正しかったんですが、どうして、2014年以降、逆噴射をずっとするのかが理解できません。

小賢しい人間が跋扈する

こういうときは小賢しい人間のほうが得をします。
組織でもそうですよね。

創業者が元気で会社を回しているときは現場も活力があります。
そして、多少生意気でも会社を一緒に良くする人間が出世していきます。官僚的な人間も変なことをすれば創業者の鶴の一声が怖いから、その事務能力がうまく機能します。

ですが、創業者がボケ始めたり組織が大きくなって官僚的なサラリーマン社長がトップになり始めるとどうでしょう?急に小賢しい人間が周囲に増えて、心地よいことしか言い合わないぬるーい環境ができあがります。経団連に入ってる会社はほぼ100%こうなってるのではないでしょうか。

こうなってしまうと、もはや作戦が間違っていても空気の支配が完成するため完全に組織全体が日本病に感染しています。日本病パンデミックですね。

実際、消費増税の際も有識者会議ってありましたよね。
あれで賛成していた人のリスト見直してください。

2014年
参考 消費増税の集中点検会合、有識者の7割が増税賛成〜誰が賛成?(参加者の賛否一覧)サイト名

この点検会合で賛成していた人たち。私も何名か知ってる人がいますが、Facebookなど「自分は有識者」とドヤ顔でしたよ(笑)。大いに反省してもらいたいところですが無理でしょう。

大多数の人は「有識者という名前がほしい」「自分のポジションを守りたい」「目立ちたい」、といったレベルの願望に目がくらんで増税による日本全体のマイナスよりも優先してしまったのでしょう。つまり想像力の欠如です。今回のコロナ対策の初期対応でも、インバウンドを優先しマクロ経済全体を犠牲にしてしまった現象と同じです。

コロナウィルスコロナウィルスと江戸末期の参勤交代と大久保利通

とはいえ、そんな彼ら、彼女らも家に帰ればよき父であり母であり、人当たりがいい人です。がこういう小さなメリットのために全体の利益を犠牲にしてしまう。こういう近視眼的な小物がはびこるのも空気の支配が完成した組織内でよくある現象ではないでしょうか。

強い現場力と現場崩壊まで頑張ってしまう国民性、そして、タコツボ組織

一方で、これまた厄介なのが日本の現場力の高さです。
なぜなら、中央がバカで作戦を間違って逆噴射かけまくっても頑張ってしまうから。

先の大戦でも後半はやられっぱなしでしたが、前半戦の日本軍の戦果は素晴らしいものがあります。たとえ作戦に無理があったとしても、現場の気合と根性でなんとかしてしまう。消費増税で経済ボロボロにしてもなんとか持ちこたえてしまう。

これが日本の強さでもあるのですが、中央とお受験エリートを甘えさせてしまう原因にもなってしまいます。

というのも、どれだけ現場が頑張ったとしても限界があります。全体最適なき部分最適型の組織は、最終的には全体最適を考えた組織に敗北します。

織田信長と鉄砲

実際、戦国時代では織田信長率いる尾張兵は最弱と言われていました。一方で、織田軍は鉄砲の導入や方面軍制度を取り入れたりと、弱い兵でどうやって勝つかに腐心して周囲の伝統的な諸大名を打倒していきました。つまり、兵が弱いため現場の頑張りによる部分最適に期待できなかったため、全体最適を優先したともいえるでしょう。

ですが、こうした事例は日本史ではオーナー型リーダーが多出した戦国時代や明治時代に限定されて珍しいとも言えます。その結果、日本型の組織は各現場部門がばらばらになったタコツボ型の組織となり、リーダーシップが極めて発揮しにくいため、部分最適にひた走ります。

ナシム・ニコラス・タレブ
こうして、数理学者のナシム・タレブの言葉を借りれば

「小さなボラティリティ(変動)を避けようとして大きな破滅をまねく国民性」

と評されることになります。

確かに、私達は「小さな失敗をには不寛容だが、その結果として、大きくてまれな失敗を生み出す」というパターンに陥りがちです。

普通の国でしたら消費増税を3回も行い経済をズタボロにすれば、そんなリーダーや官僚トップは打ち首獄門になってもおかしくありません。が、責任の所在が不明瞭なため誰も責任を取りませんし、そうした人たちが身の危険を感じることもないでしょう。

そして、前回の増税時の立役者?なんかはこんなふうにうまく立ち回ってます。
参考 “影の総理”勝・前財務事務次官がNTTグループに天下りのワケBusiness Journal

はぁ、、、ですね。

このグダグダシステムの利得者になるにはノーメンクラトゥーラ(赤い貴族)になるのが手っ取り早いのは事実です。でも、そんなことばかり続けば、結果として、パラサイトたる利得者はますます知的怠惰への道を邁進し、寄生する宿主(経済・国民・現場)が死んでしまいます。今、日本はその一歩手前ですね。

結局ジグザグ型の変化にならざるを得ない日本型組織の改革

そして、前回のエントリでも紹介した日本の可能性です。

日本とジグザグ型変化日本人とジグザグ型進化(マクロデザインVSミクロ最適化)

残念ながら、イギリスやアメリカのように漸次的に変わっていくことは難しいことが上記のまとめからもわかることでしょう。

となると、どうなるかと言うと現場が崩壊するまでこの状況が続きます。

恐らく、今回のコロナ騒動が一段落するかしないころからこんな議論でドヤ顔解説をする専門家が増えることでしょう。

・ やっぱり日本版CDCが必要だ~
・ 憲法改正が必要だ~
・ 安保法案を変える必要が~
・ インテリジェンス組織を作る必要が~

はいはい(笑)。
笑って聞いておきましょう。

そんな場当たり的な対応したって何も変わりませんよ。
だって、それを運用する私達自身が変わらないんですから。

となると、変わるタイミングはこれまた歴史をトレースするのではないでしょうか。
つまり、現場が耐えきれずに崩壊しブチ切れるタイミングです。

きっと、今回のダイヤモンド・プリンセスの現場でウィルスと戦われた方は限界まで頑張られたことと思います。これと同じか、それ以上の対価を国民ひとりひとりが支払ったとき何が起きるでしょう?

その時、既存の仕組みや権力はレジティマシー(正当性)を失います。
そうなれば、今までのグダグダを是とした「空気」が変わりますので、あとは、日本は変わるのは早いです。開き直るとできる子なんです。日本は。

そうなって日本が正しく良い方向にいけばいいんですが一つ残念なこともあります。

それは、こうした一億総転向というのは言い方を変えれば、

「自分がない」

という言葉に置き換えることもできるのです。

つまり、「われこそが運命の支配者にして我が魂の船長なり」の気概ですよ。
明治期より、夏目漱石が警告していた外発的文明である日本の弱点です。

このあたりは以前紹介したオルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』やエーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』をご参照ください。

オルテガ・イ・ガセット実は起業家必見!?ホセ・オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』は生き方の指南書 エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』のレビュー読書レビュー – エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』も起業家ならバイブルの1つとなりうる名著

なんか悲しいけど、これが日本という国のさけられない運命なのかもしれません。であればその中で最善を尽くしましょう。

大山俊輔

 

PS:本当はこれを機に過去30年の経済政策のミスを帳消しにしてしまうチャンスなんですけどね。

コロナ債による財政政策コロナウィルス騒動は日本を内需主導・脱外需依存型経済に戻す大チャンス