習慣デザイン=自分ハック

意思決定のミスを連発させる「決断疲労」とは?

決断疲労とウィルパワーの関係

ハビットマン

こんにちは。習慣デザイナー・ハビットマンShunもとい大山俊輔です。
日々、私達人間は様々な判断をします。

今日の晩ごはんのおかずをどうしようか、といったことから、人生やキャリアにおけるような大きな判断まで私達は決断を迫られます。その過程で、気づかないうちにありえないようなバカな判断をしてしまうことがあります。

実は、こうした誤った決断をしてしまうことの多くは「決断疲労」と呼ばれる現象が深く関係していることが分かっております。

また、この「決断疲労」の予防方法についても様々な研究が進んでいます。

YouTubeでも解説しています!

私自身も、実際にこの記事で紹介するテクニックを使って「決断疲労」を防ぎながら、効率的に仕事をすることに努めてきました。特に、自分の会社を創業してからは更にこのテクニックを深めるようにしています。

このエントリでは、「決断疲労」対策に繋がるテクニックを3つほど紹介します。

この記事を読み終える頃には、皆さんも日々の生活の中で決断疲労につながっている活動を見直してより自分自身の判断力を高めることができるようになりますよ。

決断疲労は判断力を鈍らせる、時には致命的なミスを併発させる

あなたは朝起きてから今までに、何回決断をしましたか?

何時に起きるか、顔を先に洗うのか、歯を先に磨くのか。ニュースを見るのか見ないのか。どのルートで会社に行くのか。お昼はコンビニにするか外食にするのか。などなど。

人によって個体差はありますが、一節では私達は1日に9000回以上(学者によっては35,000回以上)の決断をしていると言われています。これだけの決断をすると脳も疲れる気がしますね。脳が人は正しい判断ができるのでしょうか?

答えはもちろんNOです。

実際、スタンフォード大学が行ったイスラエルの刑務所での実験では判事が仮釈放の決定を行う確率を午前中の判決と午後の判決でどの程度違うかについての実験がなされました。その結果、ショッキングな結果が判明しました。

この調査によると、午前中に仮釈放が認められた確率は70%。
午後の遅い時間ではわずかに10%だったそうです。

ちなみにこの研究では受刑者の犯罪の内容であったり民族、性別などとの相関性はまったくなかったそうです。つまり、午前中か午後遅くかだったかによって、仮釈放の確率がここまで極端に異なったということです。

先程述べたように、人は1日の中で数多くの決断を行います。

中でも仮釈放を行うか否かという判断は非常に脳へ負担をかけてしまいます。したがって、午後の遅い時間まで判断をずっとし続けていくためには、判事たちもリスクの高い判断(犯罪者を仮釈放した結果、再犯を犯して自分の点数にマイナスがつくこと)を避けたと思われます。

つまり、決断という膨大なエネルギーをかけることを避けるために、脳が楽な行動をとったということですね。

決断をしすぎると「もうどうでもいいや」となってしまう!

いやいや、この事例は判事さんという専門職のプレッシャーもある人のケースでしょ。

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、研究によると、決断疲労は私達一般人の日々の判断にも様々な悪影響を与えることが分かっています。

もう1つ面白い有名な実験があります。

選択肢が多すぎると悩む理由(選択の科学)

コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が行った実験で、スーパーの試食コーナーに24種類のジャムを陳列したケースと6種類に絞ったケースでどちらが売上が多かったかを実験しました。

その結果、ジャム売り場に立ち寄る確率は24種類のジャムのときのほうが多かったものの、実際の購入につながる確率は24種類の場合はわずか3%に対して、6種類の場合は30%あったそうです。

決断疲労の理由はウィルパワー(@前頭前皮質)の消耗

決断疲労の原因はウィルパワーの消耗にあります。

皆さんも、いろんなことを決めなくてはいけないとき、頭をさわると熱く感じたことってありませんか?あたかも、フル稼働のパソコンやスマホが熱を持ってしまったかのように。

これは、人間が意思決定を行う際、脳の前頭前皮質と呼ばれる部位を使うからです。

前頭前皮質は脳の前頭葉と呼ばれる場所にあって概ね人間のみがここを本格的に稼働させることができると言われています。『スタンフォード大学の自分を変える教室』の著者でもあるケリー・マクゴニガルによると、この前頭前野の司る判断は概ね、この3つに分けることができると言われています。

  • Will ― やる力
  • Want ― 望む力
  • Won’t ― やらない力

「やる力」のお陰で、私達は目覚まし時計がなればまだ眠たくても起きて仕事に行くことができます。

「望む力」のお陰で私達人間は未来の自分の理想像に向かうことができます。

「やらない力」のお陰で、一時的な快楽を伴う誘惑をはねのけることができます。

ですが、これらの力には次の問題があります。

1日の中でウィルパワーを使える総量が決まってる

つまり、決断する回数が多くなればなるほど私達の脳はウィルパワーを使い疲労して、疲労した脳は正しい判断を行えなくなります。そうなれば、自分の未来にとって大事な決断をすることもおろそかになってしまいますよね。

次に、どのようにすれば、脳の疲労を防ぎ、ウィルパワーを正しく使うことができるようになるかをまとめてみました。

ヒント ー プロ選手(スポーツ・将棋)の人ほどウィルパワーを温存している

では、とてつもない集中力と判断が求められるプロのスポーツ選手や将棋 プロ棋士さんたちはどのようにウィルパワーを使っているのでしょう?

とてつもない集中力や能力が高いのかな?
そう思ってしまうと思いますが、それだけではないようです。

ここで面白い実験が行われて私達にヒントを与えてくれています。
この実験は実は日本で行われました。

伊藤正男・理研脳科学総合研究センター特別顧問のチームが行った実験では、アマチュアとプロの棋士を50名以上協力を依頼して、fMRIを用いて詰将棋の問題などを解く時に脳をスキャンした結果、アマチュアとプロとの間では活動が活発な領域が異なることが判明しました。

まず、プロの脳では大脳基底核と呼ばれる最も脳の中でも原始的な部分は活動しているものの、ウィルパワーを消耗する前頭前皮質は活発ではなかったこと。
また、一方でアマチュアの場合は前頭前皮質が活発に活動していることがわかりました。

このことから、研究者チームはプロは何らかの方法で原始的な活動領域である大脳基底核(一部小脳)をメインに簡単な問題は解決していることが分かったのです。

つまり、プロの方が勝負に勝ちやすいのはウィルパワーを節約することによって、試合が後半に入ったときも上手に集中力を維持して高度な判断をし続けることができたからといえます。実は、同じことがゴルフなどでもプロ・アマチュアの違いとして分かってきているそうです。

どうすればウィルパワーを正しいことに使えるか

では、私たち一般人はどのようにすれば、ウィルパワーをうまく使うことがデキルのでしょうか?
ここでは、3つのテクニックを紹介します。

テクニック1:ウィルパワーをなるべく節約する

テクニック1は節約です。
ウィルパワーの総量が決まっているのであれば、使う回数を少なめにしてなるべく大事な時に使うようにとっておく。
それが鉄則です。

おすすめの方法としては2つあります。

1つ目は、なるべく些細なことでウィルパワーを使わないこと。

スティーブ・ジョブズとイッセイミヤケ

つまり、あまり大事ではない決断にウィルパワーを消費しすぎないことです。これは、数多くの有名人が実践しています。有名なところでは、アップルのスティーブ・ジョブズがいつも同じイッセイミヤケのシャツを着用していました。着替えの時に何にするかを考えるのは、楽しいですがそこで消耗するウィルパワーがもったいなかったのかもしれませんね。

他にも世界2位の大富豪でも有名なウォーレン・バフェットさんも朝はマクドナルドのみだそうです。
マクドナルドを食べるウォーレーンバフェット

出典:https://www.businessinsider.jp/post-696

2つ目のテクニックはルーティン化。つまり習慣化です。

先程お伝えしたように決断することが多いと脳が疲れますが、些細な決断をどんどんルーティン化します。身近なたとえとなりますが、歯磨きをもし、毎回「次は奥歯」「次は前歯」と考えながら磨くとどうでしょうか?ちょっと大変ですよね。歯磨きは習慣化された活動の代表的なものですがルーティン化によって、前頭前皮質を使うことなく行うことができる活動の代表的なものです。

それが行き着いた究極形態が先程紹介した棋士さんたちです。あの人達は、意思決定をもパターン化、ルーティン化することにより、ウィルパワーを消費する前頭前皮質を使わないようにしていました。
私達で言うと、例えば、メールを書くときはテンプレを予め準備しておくなどによって、メールを書く業務の中でも本来、ウィルパワーを必要としない部分をどんどん単純作業化させてしまうのです。

テクニック2:ウィルパワーの総量を増やす

これは、できる人はやって、という感じです。
アメリカのGoogleの社内ではマインドフルネスが推奨されているそうです。決してスピリチュアルな理由ではなく、マインドフルネスや瞑想の効果は研究からも分かっています。

アメリカ・ウィスコンシン大学では、チベットの仏教僧の協力を得て瞑想中の脳の動きをモニターしたところ驚くべき結果がでたそうです。

この実験ではベテラン僧、なんちゃっての僧も含めてモニターが行われたそうですが、なんと、ベテランの脳のガンマ波は、メーターを振り切って計測不能になるほどのレベルで発生してしまったそうです。中でも、モニターの結果、左側の前頭前野の活動が活発であることがわかったそうです。まさに、ウィルパワーの源の部分です。

こうしたことから、アメリカなどではマインドフルネスが流行っているのかもしませんね。日本でもブームがやってきそうな予感です。

テクニック3:ウィルパワーを補給する

最後は、補給です。

脳は全体重のわずか2%しかないにも関わらず、全消費カロリーの実に20~25%をも消費してしまう食いしん坊です。このエネルギーの源は基本的にはブドウ糖になります。つまり糖分。なによりも脳はブドウ糖を作ることも備蓄することもできません。

ただ、人によっては糖質ダイエット中だったり、そもそも、甘いものを食べたくない人もいることでしょう。
また、そもそも、肝臓に保存されているグリコーゲンは半日程度しか脳にブドウ糖を供給することができません。つまり、定期的に補給する必要があるのです。

ここで避けたいのは急激な血糖値の変化。ご飯もののランチやディナーの後は眠たくなりますよね。

体に炭水化物を大量に摂取してしまうと、血糖値が急激に上昇しそれを下降させるために膵臓からインスリンが分泌されます。その結果、インスリンが効きすぎると血糖値が急降下し、血中のブドウ糖が減ってしまいますので、その時、脳がボーッとしてしまいます。こうなると、せっかくブドウ糖を補給したはずが逆効果ですね。

そうならないようにするには、急激な血糖値の上昇を招かない間食ということになります。
人気があるのは低GI食品ですね。特に、ピーナッツなどのナッツ類は、炭水化物を含むもののその量は少なく、その他ミネラル、ビタミン、タンパク質も豊富に含まれているため途中でのブドウ糖補給にはぴったりだと言われてます。3時のおやつにケーキ、というのが女子的には楽しみかもしれませんが、ウィルパワー的にはナッツをつまむのが良さそうですね。

まとめ

いかがでしたでしょう?

脳が疲れてウィルパワーが不足すると、判断が間違ったり、ヘタれてしまったりあまりいいことはありません。
仕事などでの判断ともなると、イスラエルの判事の事例を振り返るまでもなく大きなミスなどに繋がることにもなりかねません。そうならないようにするためにも、今回紹介したテクニックを使ってうまく脳のウィルパワーの消耗を最小限にすると同時に、鍛えていきたいですね。

ありがとうございました!

ハビットマンShun